「反対意見は毎日見てる」元フェアリージャパン主将・田中琴乃が明かした聖火リレー・五輪開催への心境とは。

新体操団体日本代表「フェアリージャパン」の一員として北京・ロンドンオリンピックに出場し、現在はフェアリージャパンPOLAの美容コーチとして、選手たちをメイクの分野で支える田中琴乃さん。 東京五輪の聖火リレーでは、故郷である大分県のランナーにも選出された。コロナ禍での五輪開催に対しては反対意見も多く、元日本代表として葛藤も覚えるという。東京五輪、そして聖火リレーに田中さんが今抱く、素直な思いを聞いた。

聖火は「子どもの頃の夢の延長線上にあるもの」

小学生のときからオリンピック選手を目指していたという田中さん。東京五輪の聖火への思いを尋ねると、「子どもの頃の夢の延長線上にあるもの、という感じでしょうか」と笑う。 「小学3年生のとき、小学校の校長室のテレビで見たシドニー五輪の開会式が私の原点です。いろんな国の選手が国旗を振りながら歩いているところを見ていたら、これはオリンピックという大会なのだと校長先生が教えてくれました。そのときに先生が言ってくださった『ここに行けるよ、琴乃ちゃん』という言葉がきっかけで、私はオリンピック選手になると言い始めたんです。聖火が灯されるシーンがとても印象的で、今でも覚えています」

ロンドン五輪で田中琴乃さん(写真右)はフェアリージャパンのキャプテンを務めた ロンドン五輪で田中琴乃さん(写真右)はフェアリージャパンのキャプテンを務めた

その言葉を機に五輪出場を夢に掲げた田中さんは、2006年に念願の新体操日本代表に加入。多いときには日に12時間以上もの練習に明け暮れ、選手仲間やコーチたち以外の人とはほとんど話すこともないような日々の中、励みになるのは遠くから応援してくれる人たちの存在だった。 「いつも一緒に練習しているメンバーは仲間でもライバルでもあるので、弱みを見せすぎると負けてしまう気がして、弱音はできるだけ吐かないようにしていました。だから精神的に辛いときや苦しいときは、自分の部屋から親や仲のいい友達によく電話をしていましたね。他愛ないやりとりの中でも、『いつも応援してるよ』と言ってもらえるのが救いになっていました」 同時に、スポーツファンや地元・別府市の人々からの声援も大きな力に。 「五輪や世界選手権のような大きな大会に出ると、競技当日はもちろんですが、大会から帰ってきたあとにも、みなさんすごく温かく迎えてくださる。そういった声援を受けるたびに、いつも応援してくださっている方のありがたみを改めて感じていました」

「目には見えないスポーツの力を信じたい」逆風の中で願うこと

田中さんも五輪開催に元アスリートとして複雑な心境を語ってくれた 田中さんも五輪開催に元アスリートとして複雑な心境を語ってくれた

一方、五輪開催に対して複雑な思いを抱えているのも事実。温かな声援ばかりではない今の状況の中、田中さんは今回の五輪に出場する選手たちのことを、誰よりも気にかけている。 「新型コロナウイルスの影響で、私自身も活動の主にしていた講演会やレッスンなどが減り、この1年はなかなかハードでした。けれどそれ以上に大変だったのは、大会や競技会が相次いで中止になってしまった選手たちだったと思います」 五輪に対するインターネット上の記事のコメント欄やSNSの意見なども、田中さんは毎日読むという。五輪開催を快く思っていない人も多いこと、感染予防の観点からはその意見も理解できることを思うと、選手たちの心境はどれほど複雑だろうか、と悩んでしまう。 「かつて五輪に出場した私としては、やっぱりオリンピックの素晴らしさを知っているので、開催の是非について問われれば、正直してほしい気持ちが勝ります。でも、国の税金が投入されていること、スポーツと人の命とを天秤にかけたら命が大切なのは明白であることを考えると、『絶対開催してほしい』と簡単には言えません」 だからこそ、選手たちの葛藤と努力を考えず、五輪そのものへのイメージを大きく低下させるような森喜朗氏や佐々木宏氏の差別的な発言には怒りも覚えた。 「選手たちが練習したくてもなかなか満足にできず、時には周囲に叩かれながら必死で頑張っているのに、ああいった発言のためにオリンピックそのものへのイメージが低下しているのはとても悔しいです。アスリートファーストと言われていたのはなんだったんだ、という気持ちになりました」

女性蔑視発言で辞任した元五輪開閉会式演出統括の佐々木宏氏 女性蔑視発言で辞任した元五輪開閉会式演出統括の佐々木宏氏

しかし、そんな逆風の中にあるからこそ、できるなら五輪が安心安全に開催されることを田中さんは願っている。 「スポーツには何かを奮い立たすような目に見えない大きな力があると思うので、その力を信じたい。選手たちが必死にがんばる姿やこれまでに達成できなかった記録が塗り替えられていく瞬間を目に焼きつけたい、という方も少なくないと思います。先が見えない今だからこそ、アスリートたちの姿を見ることで、もう少しだけがんばってみようかな、と思えたり、新しいチャレンジへの勇気がもらえたりするんじゃないかって」

五輪が、新しいチャレンジへのきっかけになればいい

聖火ランナーとしては、田中さんは4月23日に故郷の別府市を走る。 「別府といえば湯の町というイメージが強いと思いますが、温泉はもちろん、他にも名所がたくさんあるんです。高崎山自然動物園というところが私は特にお気に入りで、何百匹という野生の猿が間近で見られる日本有数のスポット。今はなかなか来てください、と言えませんが、コロナが落ち着いたらぜひ県外の方にも立ち寄っていただきたいです」

高崎山自然動物園の子猿 高崎山自然動物園の子猿

聖火を持って故郷を走れるのは何より嬉しい、と田中さん。これまでに応援してくれた人たちへの感謝の思いを抱いて走りたいと言う。

故郷の大分県別府市についてはオススメの名所を笑顔で熱弁!! 故郷の大分県別府市についてはオススメの名所を笑顔で熱弁!!

「2020年は、コロナの感染拡大の影響で何もできなかったという人がたくさんいると思います。もちろん感染予防への意識を緩めるわけにはいきませんが、コロナで時間が止まっているという方にとって、五輪が新しいチャレンジへのきっかけのようなものになればいいと願っています。 お話ししたとおり、私の原点は小学生のときにテレビで見たオリンピックの中継です。子どもの頃に五輪の舞台を見て憧れたからこそ、辛い練習も乗り越えてこられた。だからこそ今の子どもたちにも、五輪を通じて夢を持つことの大切さやスポーツの面白さを伝えられたらいいなと思っています」

田中さんは子供の世代にスポーツの素晴らしさを広げたいと語ってくれた 田中さんは子供の世代にスポーツの素晴らしさを広げたいと語ってくれた

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