香川の讃岐うどん、“日常の一杯”を守れるか。一人の経営者が愛する故郷で聖火を灯すわけ

新型コロナウイルスの影響で来店客が減少し、廃業に追い込まれかけているうどん店を助けたい──。 そんな思いで、香川出身の経営者・森田桂治さんが2020年に始めた「SAVE THE UDON」プロジェクトは多くのうどんファンの支持を集め、文字通り、県内の飲食店を窮地から救ってきた。 地元・香川の豊かな自然とうどんをこよなく愛す森田さん。東京五輪の聖火ランナーとして走る、故郷への思いを聞いた。

香川県の聖火ランナーを務める森田桂治さん 香川県の聖火ランナーを務める森田桂治さん

外資系メーカーを退職し、地元・香川で起業

森田さんはバブル期、総合電機メーカーに営業職として入社後、外資系のIT企業に転職。はたから見れば華々しいキャリアを歩んできたが、「もっと自分のやりたいことをしたい」という思いから妻を連れて故郷・香川に戻り、2000年に自身が代表を務めるWeb制作会社を立ち上げた。 「外資系メーカーの派閥争いに疲れてしまって、地元に帰って好きなことをしようと思ったんです。当時はインターネット黎明期。企業のホームページを制作したりシステム開発をしたり、メーカー時代の営業力だけを頼りに仕事をとってくるという、なんとも向こう見ずな数年間が続きました」 会社の立ち上げ当初は従業員に給与を払うため、消費者金融からお金を借り入れたこともあった。仕事がようやく軌道に乗り始めた頃、森田さんは地元・香川の海を始めとする、自然環境の保護に目を向けるようになる。 「瀬戸内海は、太平洋などの外洋と比べて圧倒的に海ごみの量が多いことを知ったんです。アカデミックな分野で海ごみ対策の活動をされている方は、全国にたくさんいるのですが、当時、香川だけはスポッと抜けていまして。調べていくうちに『これは自分の使命かもしれない』と感じ、海ごみ対策や環境保全の活動を始めました」

森田さんは香川県の里海を守る活動も積極的に行っている 森田さんは香川県の里海を守る活動も積極的に行っている

「お世話になった讃岐うどんに恩返ししたい」

現在は、本業である会社経営やIT活用支援の他にも、香川県が進める里海づくり活動の支援や海ごみ対策など、さまざまな活動を行っている森田さん。2020年春からは、コロナ禍で来客数が減り困っている県内のうどん店を支援するプロジェクト「SAVE THE UDON」を始めた。客が“うどん券”を事前に購入することで、直接足を運ぶことができなくても店を支えられるという仕組みだ。

SAVE THE UDONのサービスはわずか1週間でローンチしたと言う SAVE THE UDONのサービスはわずか1週間でローンチしたと言う

「困っているお店のためというのはもちろんですが、馴染みのうどん屋さんがなくなって一番困るのってやっぱり常連客なんですよ。香川の人たちって、だいたい馴染みのうどん屋さんが2~3軒あって、そこで週6日くらいはうどん食べてるんです、本当に(笑)。 だからその2~3軒のうどん屋さんがもし潰れてしまったら、お客さんにとっては毎日の主食がなくなっちゃうってこと。それって白米が食べられなくなるのと同じで、人生が半分終わっちゃうくらいの大打撃なんです、僕らにとっては。……それだけはなんとしても防がないと、と思って始めたのが『SAVE THE UDON』の活動です」 香川のうどん店を支えているのは常連客だ、と森田さんは言い切る。柔らかめのうどん、コシのあるうどんなど、店ごとの味の特徴がさまざまなのはもちろん、それらの特徴が毎日店を訪れる客に合わせて少しずつ“特化”してゆくことで、香川のうどん店には“多様性”が生まれてきたという。 「県外の人が香川を訪れたときに、うどん屋さんを何軒もハシゴしてくれるというのは、まさにお店に多様性があるからだと思います。その多様性を支えているのは、週6でうどんを食べてる常連たちなんです(笑)。

なので、彼らにとっての馴染みの1軒を守るということはそのまま、讃岐うどんの文化自体を守ることでもあります。いざプロジェクトを始めてみたら、県内からも県外からもたくさんの支援が集まって、本当にうれしく思っています。皆さん『お世話になった讃岐うどんに恩返ししたい』っておっしゃるんですよ」 森田さんが支援するのはうどん店だけではない。地元のお気に入りの料理屋が来客減で困っていると聞き、つい先日、クラウドファンディングを始めたばかりだ。 「自分がずっと大切にしてきたものがなくなってしまうのって怖いし、嫌じゃないですか。少しでもできることがあるならなんでもしたいんです」

愛する故郷で、聖火を掲げて走る

森田さんの活動の原点にあるのは、「自分にとって大切なものを守りたい」という一貫した思いだ。4月17日には、東京五輪の聖火ランナーとして故郷の街を走ることが決まっている。聖火への思いもまた、故郷への強い愛に支えられてきた。 「海ごみ対策の活動は気づけば20年以上続けてきて、昨年はありがたいことに、県のボランティア大賞もいただきました。聖火ランナーとして地元を走ることはその活動の仕上げというか、恩返しのような気持ちでいます。いま、コロナで皆さん同じように大変な思いをされていると思うので、大事なものを守る、大好きな香川を守るという思いを持って走りたいなと」 香川の魅力を森田さんに尋ねると、海が身近にあり、生活に根ざしているところだという。 「香川って狭いので、海から一番遠いところでも30kmほどしか離れていないんですよ。物理的にも海がすごく近くて、絵になる風景が本当に多いところです。コロナが落ち着いたら、県外からもたくさんの方にいらしてほしい。そのときまで馴染みのうどん屋さんが潰れないよう、僕はこれからも、必死に支えていきたいと思います」

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