東京五輪メダル候補はいる? 女子ゴルフ畑岡、鈴木、比嘉......熾烈な日本代表争い

2019/7/26 10:52

畑岡奈紗選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 来年の東京オリンピック(以下、東京五輪)の開催まで約1年と迫った。国内では卓球、バドミントン、レスリングなどメダル獲得が期待される種目に自然と注目が集まるが、なかなか認知されていない競技がある。ゴルフだ。
 2016年のリオデジャネイロ五輪では、1904年のセントルイス五輪以来、112年ぶりにゴルフ競技が採用され、2020年東京五輪でも開催される。だが、特に女子選手にはメダル候補がいるにもかかわらず、選手の実力や素性は世間にほとんど知られていない。そんなゴルフの五輪出場権争いの現状をまとめた。

オリンピックランキングで決まる男女各60名の出場選手

 東京五輪のゴルフ競技には、男女で各60名だけが出場が可能だ。
 出場資格があるのは男子は2020年6月23日時点、女子は2020年6月30日時点のオリンピックゴルフランキング上位15位までの選手で、各国最大4名まで出場できる。16位以下については、1カ国2名(15位以内の有資格者も含む)が上限となっている。

 男子は2018年7月1日~2020年6月22日までの世界ゴルフランキング、女子は2018年7月8日~2020年6月29日までのロレックス(世界)ランキングを基に算出する。ランキングは毎週月曜日に国際ゴルフ連盟(IGF)のサイトで発表されている。

日本選手の現在のオリンピックランキングは

 ちなみに競技形式は個人戦。4日間で72ホールのストロークプレーで行われ、1位タイが2名以上いた場合は3ホール(予定)のプレーオフ(延長戦)でメダルを争う。団体戦がないことから、盛り上がりに欠けるとも言われている。
 ゴルフのトーナメントは男子と女子で、アメリカ、日本、韓国、オーストラリアなどで行われているが、各国ツアーによってポイントの大きさが違う。
 ゴルフツアーの最高峰は米ツアーで、規模の大きいメジャー大会ほど高いポイントが設定されている。
 つまり、試合にコンスタントに出場し、優勝やより高い順位に進出することで、世界ランキングとオリンピックランキングが上がり、五輪出場にも自然と近づくわけだ。
 では、日本の選手の現在のオリンピックランキングはどうか。(7月22日時点)
 男子では米ツアーでプレーする松山英樹が14位(世界ランク32位)、日本ツアー通算2勝の今平周吾が31位(世界ランク76位)となっている。現時点ではこの2人の五輪出場が濃厚だ。
 特に米ツアー通算5勝の松山には、メダルの期待がかかる。今季はまだ優勝こそないが、トップ10位入り5回で賞金ランキングも28位に位置しており、メダルも十分狙えるだろう。

女子メダル筆頭候補は20歳の畑岡奈紗

 一方、日本女子選手のオリンピックランキングを見てみよう。実は出場権争いが激しさを増しており、その展開は1年後までまったく分からない状況だ。
 日本女子で東京五輪出場が濃厚なのは、米ツアーで通算3勝している畑岡奈紗だ。現在、オリンピックランキングは6位(世界ランク6位)とメダル獲得も決して夢ではない。
 その後ろには、日本ツアーでプレーする17位の鈴木愛(世界ランク24位)が続く。また、オリンピックランキング60位以内に入っていないが、後続には比嘉真美子(世界ランク42位)、渋野日向子(世界ランク44位)、河本結(世界ランク50位)が控えている。
 ただやはり、その中でも東京五輪でのメダル筆頭候補は20歳の畑岡奈紗だろう。
 彼女の実力はアマチュアから突出していた。度肝を抜いたのが、2016年の国内メジャー「日本女子オープン」で史上初のアマチュア優勝を飾ったことだった。この時、宮里藍が持っていた最年少大会優勝記録を塗り替えた。
 同年にプロ転向して、「伊藤園レディス」でプロデビュー。その後、日本を選択せずに、アメリカを目指すと宣言。見事に予選会を突破し、2017年から米ツアーに参戦している。
 それから日本ツアーにもスポットで参戦し、2017年「日本女子オープン」では2年連続優勝を達成。1977年以来となる40年ぶり、史上2人目の快挙だった。

2017 日本女子オープン 表彰式(写真:Nippon News/アフロ)

 米ツアー1年目の2017年は環境に慣れるのに苦労したが、2018年6月の「ウォルマートNWアーカンソー選手権」で悲願の米ツアー初優勝。2019年3月までの大会で通算3勝を挙げている。
 これだけの経験と実力を備えた20歳にメダルを期待せずにはいられないが、日本ツアーでプレーする選手たちも、東京五輪でのメダルを虎視眈々と狙っている。
 それが鈴木愛と比嘉真美子だ。

2017年賞金女王の鈴木愛「最終的に結果がついてくる」

 25歳の鈴木愛(日本ツアー通算12勝)は2017年に年間2勝を含む、トップ10入り16回で初の賞金女王に輝いている。2018年は年間4勝して賞金ランキング3位。今季も3勝しており、自身2度目の賞金女王も十分狙える位置にいる。

2017年日本ツアー賞金女王の鈴木愛選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 誰もが出られる場所ではないからこそ、鈴木の五輪への思いは強い。
「長い間、五輪にゴルフはなかった。それがリオ五輪で再開して、来年は東京でやることになりましたが、それこそ東京五輪でゴルフ競技が開催されるのは、自分が生きている間にはもうないかもしれない。そんなチャンスはもう訪れないからこそ、絶対に出たいなって思います。ただ、前回大会の時は、そこ(五輪出場)を意識しすぎたので、思い詰めるのも良くないと思っています。自分ががんばっていれば、最終的に結果がついてくると思う。そういう気持ちでいるほうが、いいのかなと思っています」
 日本で頂点に輝いた選手だからこそ、次はその姿を世界に向けて、この東京五輪で見せたいと鈴木は思っている。今季はすでに米メジャーのエビアン選手権(7月25~28日、フランス)や全英女子オープン(8月1~4日、イギリス)の出場権を獲得しており、結果によっては大きくランキングが上がる。

全米女子オープン5位の比嘉真美子「私が日本を代表してプレーする」

 そして近年、強さが戻ってきたのが25歳の比嘉真美子(日本ツアー通算5勝)だ。
 アマチュア時代から"大器"と呼ばれた比嘉。女子アマチュアゴルファー日本一を決める「日本女子アマチュアゴルフ選手権」で、史上7人目となる2連覇を達成。
 2013年のプロ1年目にいきなり2勝し、大型ルーキーの片りんを見せつけた。「強い韓国勢に対抗できる数少ない日本選手」と呼ばれたこともあったが、2015年にスランプに陥り、賞金ランキング95位でシードを喪失。だが、2016年に再びシード復帰を果たし、2017年8月の「NEC軽井沢72」で4年ぶりに優勝してからは、勢いを取り戻した。

2018年全英女子オープンに出場した比嘉真美子選手(写真:ロイター/アフロ)

 比嘉はかつて、2年に一度行われる女子の国別対抗戦「インターナショナルクラウン」に日本代表として出場した経験もある。2014年の同大会の日本代表メンバーは超豪華で、宮里藍、横峯さくら、宮里美香の中に比嘉が加わった。昨年も同大会に日本代表として出場しており、真剣勝負の場で日本を代表して戦った数少ない選手の1人でもある。
 それに今季も絶好調。開幕戦のダイキンオーキッドレディスで優勝し、賞金ランキングは10位と好調で、米ツアーのメジャーである全米女子オープンでも優勝争いを繰り広げ5位に入り、大きく自信を高めた。
 彼女が見ている目標も高いところにある。
「全米女子オープンで5位に入ってからは、より一層、五輪への思いが強くなりました。そのためにも毎週、日本ツアーでどれだけ優勝争いできるかがポイントになります。もちろんポイントが高い海外メジャーで、どれだけいい内容のゴルフができるのかが、一番の近道です。五輪という大きな目標があるのであれば、勝負師としてはそこにチャレンジすべきだと思います。そこを誰もが目指せるわけではありませんし、自分がその位置にいるのであれば、そこを狙っていきたいなと思っています」
 そもそも、プロゴルファーにとって、五輪という舞台はテレビで見るだけのはるか遠い舞台だった。それが今、自分のテリトリーの中に入ってきたことで、新たなステージに立つことができる。
「今まで五輪はテレビで見るもの、フィルターを通して感じるものという意識がありました。まさか自分が五輪を意識するとは思っていませんでした。いつもテレビで『すごいな』と思いながら見ていましたけれど、それが近づいてきました。出てみたいというか、私が日本を代表してプレーしたいと思っています」

オフにもコンディション維持ができるかがポイント

 自分が必ず日本を代表して東京五輪に出るという強い意志を持ち、比嘉はすべての試合に全力を尽くすつもりだ。7月25日から開幕する海外メジャー、エビアン選手権の出場権も獲得したが、ここで上位進出を果たしたいところだろう。
 ちなみに日本でのゴルフトーナメントは、12月から完全オフシーズンに入る。そのため、来年の春から開幕する新シーズンに向けて、どれだけ良いコンディションを維持できるのかもポイントとなる。
 コンスタントに試合で上位進出してポイントを加算し、なおかつオフシーズンもトレーニングとショットの打ち込みを欠かさず、最高の状態を維持できた者が、東京五輪の切符を手にすることができるだろう。オリンピック競技では"マイナースポーツ"だが敬遠せず、ぜひともゴルフの出場権争いにも注目してもらいたい。

(文・キム・ミョンウ)

競技紹介

${list[returnRandomCount].credit}

${list[returnRandomCount].eventName}

${returnCompetition(list[returnRandomCount].eventId)}

${list[returnRandomCount].text}

競技一覧

おすすめ情報