池田市の小中学校にパラスポーツを伝えるキャラバン隊がやってきた!〜共生社会ホストタウンの取り組み〜

2020/12/22 15:21

世界でコロナが猛威を奮い、史上初の延期を宣言した東京オリンピック・パラリンピックの影響は東京だけでなく関西の子どもたちにも及んでいる。感染第3波に日々細やかな対応が求められる大阪府池田市の学校現場で、パラアスリートと一緒に体を動かし共生社会について考える授業が子どもたちに笑顔をもたらした。

池田市立北豊島小学校を訪れたパラスポーツを伝えるキャラバン隊。ともに体を動かし考える授業が開催された 写真・PARAPHOTO 山下元気

「車いすだとつらいし大変なことがいっぱいあるなと思ったけど、今日の話を聞いて、大変なことはあるけど、楽しいこともたくさんあるんだなと思った」
「障害がなくても暗い人がいるのに、明るいのがすごいと思った」
「足がないのに諦めないのがかっこよかった」
「車いすバスケをやってみて、ふつうのスポーツができたと思った」
ーーーこれは、パラリンピック・ムーブメントを伝える障害のあるアスリートたちによるキャラバン隊、「パラキャン」の授業をうけた子どもたちの感想の一部である。
池田市に「パラキャン」がやってきた!

12月3日、大阪府池田市で、4人の障害のあるアスリートを講師にしたパラスポーツの授業が、市立北豊島小学校と市立石橋中学校の2校それぞれで行われた。
池田市は、同市と提携するホストタウンアドバイザーのNPO法人パラキャンの仲介により、フランス車いすラグビー連盟と事前キャンプの受け入れがきまり、2019年2月に車いすラグビーのフランス代表チームの「ホストタウン」に登録され、同年12月には「共生社会ホストタウン」にも登録された。

リオパラリンピック(2016年)で円陣を組むフランス代表チーム 写真・PARAPHOTO 中村 Manto 真人

東京パラリンピック延期に伴いフランスチームの来訪はしばらく先となっているが、池田市では「誰でも住みやすい街づくり」のための心のバリアフリー教育や観光マップ作りなど、共生社会の実現に向けた取り組みが積極的に進められている。
できないことを数えるよりも、できることを数えよう!」〜小中学生が障害とスポーツを体験。
子どもたちにパラスポーツ・キャラバンを提供する中山薫子さん(NPO法人パラキャン事務局長)は、日本でのパラリンピック・ムーブメントの先駆者である。中山さんは、阪神・淡路大震災(1995年)の翌年に開催されたアトランタパラリンピック(1996年・アメリカ)で車いすバスケットボールを観戦、インパクトある光景にアイデアを得てパラリンピアンが講師となって子どもたちに教える企画を考案、神戸市の21の学校でパラリンピック・キャラバンを始めた。

パラリンピックで車いすバスケットボールに魅了され活動を始めた中山薫子さん。20年以上の活動を続けるなかで、一貫して、誰もが多様であること、障害の有無で分けない(インクルーシブの)発想が社会の可能性を切り拓く鍵になると伝え続けている 写真・PARAPHOTO 山下元気

この日もパラキャンの講師たちは手足の麻痺などで車いすを使っている人もいたが、義足を使ったり、麻痺の程度により歩ける人もいた。4人それぞれ異なる障害を持ち、それぞれの障害の程度も異なっていた。車いすバスケットボールや車いすラグビーをするために競技用の車いすを使った。
池田市立北豊島小学校では4年生の児童90名が、初めて競技用車いすスポーツで試合形式を体験したり、自分以外の友達を応援したり、互いに自由な意見や疑問をぶつけあっていた。
「素朴な疑問を当事者に投げかけることが大事だと思います。大人になるにつれてだんだん簡単に口にできなくなってしまう。小学校3〜4年ぐらいの時期にざっくばらんに障害のある人と触れ合えることは、人生の大きなヒントになるはずです」と中山さんは話していた。

池田市立石橋中学の1年生125名の中には車いすで生活する生徒も日々ともに学んでおり、昨今のパラリンピックの教材やYouTube動画などの情報からパラスポーツに対する事前イメージをもっていた。

地元・池田市出身の諸隈有一さん。この日のキャラバン隊チームのリーダー役を務めた。車いすバスケットボールチームB-Spirits(岸和田)の代表。グループ講話で自分の義足について話す。「足がなくても、見えなくても工夫をして好きなことをすることが、本当の自由」と伝えていた 写真・PARAPHOTO 山下元気

頭では想像していたパラスポーツを実際に競技用車いすを漕いでみることで確かめ、パラアスリートの言葉に触れながら考える時間をもった。障害のある生徒も一緒に体を動かして障害のあるなしで分けられない世界を学び、積極的な交流を求め吸収していた。
「義足や車いすだから、目が見えないからできないと考えるのはおかしい。障害がないからといって何でもできるわけじゃないですよね。大切なことは、義足って何のためにあるのか、どうなっているのか、見えない人はどうやって世界を見ているのかを知ろうとすることです。皆さんは、今日知りましたから、もう驚いたり、怖がったりはしないでしょう」

右から、北京パラリンピック車いすラグビー日本代表の永易雄さん、滋賀県彦根市出身の八橋龍二さん。車いすラグビーのルール説明 写真・PARAPHOTO 山下元気
アテネパラリンピック車いすバスケットボール日本代表の阪根泰子さん 写真・PARAPHOTO 山下元気

「競技用車いすに乗ると、生徒たちはみんな笑顔になる。パラリンピック、パラスポーツの授業を人生のなかで一度は体験して欲しい。車いすの乗り方はすぐに上達する。先生たちも一緒にやってもらって、成功も失敗も一緒に体験して、誰にでも可能性があることを伝えたい」とリーダー役の講師を務めた諸隈さんは話していた。
自分の障害を生活方法の違いとしてアピールし、自由な雰囲気を発散して触れ合う講師たちに、子どもたちは魅了され、新しい知識と体験を得たようだった。

車いすスポーツ体験で使用した競技用車いす。ワゴン車に積まれて学校にやってきた。キャラバン隊のアスリートたちが次々と組み上げていった 写真・PARAPHOTO 山下元気

主なプログラム;主旨説明、競技体験、車いすスポーツ競技ルール紹介、車いすリレー、グループ講話。

<参考リンク>

・池田市のホストタウン事業

・NPO法人パラキャンについて

・ホストタウン一覧

(取材・記事 佐々木延江)

〈この記事は、パラフォトにて2020年12月9日に掲載されたものです。〉

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