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いま試合が少ないことは東京2020にプラスに働く - 桃田賢斗(バドミントン)

2020/7/22 19:10

名実ともに日本が世界に誇るバドミントン選手、桃田賢斗。2018年9月に日本人男子初となる男子シングルス世界ランキング1位に浮上して以来、その最上位に君臨し続け、2019年は世界バドミントン連盟による男子年間最優秀選手に選出された。
コロナ禍にあり試合ができない現状が「プラスに働く」と語る桃田。4年前には無期限の出場停止処分、今年1月には交通事故に遭うなど、選手生命の危機を経験しながらも、世界のトップを走り続ける男は、1年後の金メダルを見据えている。

2019 バドミントン 世界選手権 男子 シングルス 決勝 写真:なかしまだいすけ アフロ

試合が少ないことで、自分の手の内を見せずにすむ

―― 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月24日に東京2020の開催延期が決まりました。当時、桃田選手はどのような思いでこの決定を受け止めましたか?

個人的には、1月に遠征先のマレーシアで交通事故に遭ったこともあり、急ピッチでオリンピックに向けて準備を進めている最中でした。オリンピック開幕がもう5カ月後に迫って、かなり焦っていたので、延期が決定した直後は精神面を落ち着かせるのに少し時間がかかりましたね。
ただ、何よりも大事なのは世界中の人々の健康ですから、開催延期に対してネガティブな感情は全くありませんでした。

―― オリンピックだけでなく、さまざまな大会が延期や中止になり、実戦に臨めない状況が続いています。

ここ数年、国内外のどのような相手と対戦しても、プレーを細かくチェックされ、かなり対策を講じてきているなと感じることが多かったんです。そういう意味では、東京2020までの1年間で試合をする機会が少ないというのは、自分の手の内を見せずにすみますから、僕にとってはプラスの方向に働くのではないかととらえています。

2020年1月、交通事故にあった遠征先のマレーシアから帰国 写真:ロイター アフロ

―― 桃田選手は「実際に選手と試合をしなくても、トップレベルの相手をイメージしながら練習できる」とも話していましたね。

シャトルを使わないフットワークやステップ練習の時には、世界トップレベルの選手をイメージし、過去の対戦で「シャトルがどういうタイミングで、どういう角度で飛んできたか」を思い返しながらトレーニングしていますね。

―― 日々練習を積み重ねる中、1年後の自分自身をどのようにイメージしていますか?

交通事故後の手術から数カ月経ち、プレー面も自分が納得できるレベルまで戻ってきています。一方で、自分に足りない部分も認識できているので、その部分を中心に強化していくことで、来年7月にはもっともっと成長できていると思いますね。
中でも、パワーと攻撃力はもっとレベルアップできると思っています。例年のように大会が立て続けに開催されるようなスケジュールだと、どうしても基礎練習が疎かになりがちなんですよね。この期間を最大限に利用して、地道なメニューにしっかりと取り組むことができています。

2019 バドミントン 世界選手権 男子 シングルス 準決勝 写真:エンリコ アフロスポーツ

―― ご自身から見て「桃田賢斗の長所」はどういった面だととらえていますか?

器用なところとコントロールの精度の高さが挙げられるのではないかと思います。一撃で勝負を決めるようなパワーや瞬発力はまだまだですが、ギリギリのところを狙う緻密なコントロールには自信がありますね。
シャトルをコート内のさまざまな位置に打ち分けて相手の動きを誘導したり、攻撃のコースを限定しながら、少しずつ自分が主導権を握って、試合展開を優位に進めていくプレースタイルです。

「もうバドミントンは続けられない」、4年前の出来事

―― 2016年4月、違法カジノ店での賭博行為が発覚し、無期限の出場停止処分が科せられました。この4年間を振り返って、自分自身の中で変わったところはありますか?

あの時期は本当に調子に乗っていたというか、周りが見えず、すべてが自分中心になっていました。日本で一番強いのは自分、試合に出場することはもちろん、練習や試合でもいい環境が提供されて当たり前だと勘違いしていました。でも、それが一気に崩れ去り、何もなくなったことで自分自身を見つめ直し、忘れていた初心を取り戻せたように思います。

2017年7月、無期限出場停止処分から約1年ぶりの復帰戦となった日本ランキングサーキット大会で優勝 写真:YUTAKA アフロスポーツ

―― 社会的にも大きな問題として取り上げられた中、バドミントン選手として復活できた要因はどこにあったのでしょう?

本当にいろいろな方にサポートしてもらったことが大きな要因です。自分の中では「もうバドミントンは続けられない」と思っていましたが、会社の皆さん、チーム関係者を始め、多くの人たちのおかげでまた練習ができる環境に戻ることができました。
関わってくれた方々に感謝の気持ちを伝え、一人ひとりに恩返しをするために、また一から頑張ろうという思いが、僕にとっては大きなモチベーションでした。
本当につらい時期を支えてくれた人々への感謝の気持ちは、これから先もずっと持ち続けていようと思っています。

バドミントンをメジャースポーツに

―― 桃田選手にとっては、日本バドミントン界への貢献という部分も今後の大きなテーマだと聞きました。

今年は本当に多くの大会が延期や中止になっていて、目標を見失っている選手たちも少なくありません。自分がプレーすることを考えるだけではなく、そういった選手たちのモチベーションを高め、「もっと強くなりたい」「この先もプレーを続けたい」と思ってもらえるような活動に取り組みたいと思っています。
それから、最近、新たに始めたこととして、自分の母校の子どもたちにも、できることをしてあげたいなと。7月には、母校(福島県立ふたば未来学園※桃田選手は福島県立富岡高校出身だが、東日本大震災の影響もあり、2015年にふたば未来学園として統合されている)の中学生、高校生と1週間の合同トレーニングを実施しました。自身のトレーニングもやりつつ、子どもたちと約70ゲームをやったのですが、とても楽しかったですね。大会などが中止になる中で、今後も子どもたちに経験を伝える活動をしていきたいと思っています。

―― トップレベルの選手たちはもちろん、バドミントンを楽しむ少年少女がプレーする環境を確保することも重要ですね。

そのとおりです。小中高と進学していく中で、一人でも多くの子どもたちがバドミントンを続けられる環境を増やしていきたい。そういう意味では、東京2020が大きなポイントになると考えています。開催が1年延びたことで、今まで以上に期待感や注目度は高まるでしょうし、その舞台で自分が優勝という結果をしっかりと残すことで、バドミントンのイメージもより良い方向へ変わっていくのではないかと思うんです。
いろいろな人にバドミントンの魅力や楽しみ方を知ってもらい、少しずつ競技人口を増やしていくことで、将来はメジャースポーツの仲間入りも夢ではないと思っています。

2019 バドミントン 全日本総合 男子 シングルス 決勝 写真:松尾 アフロスポーツ

―― 桃田選手にとっても、日本バドミントン界にとっても、東京2020は大きなターニングポイントになりそうですね。

先ほど触れた2016年の事件や、今年1月の交通事故など「もうバドミントンは続けられない」と心が折れそうになった時もサポートを続けてくれた方がたくさんいます。その皆さんへの恩返しの意味でも東京2020では優勝したいと思っています。
4年に1度の大舞台であり、ぶっつけ本番の一発勝負。勝ち上がるには実力だけではなく運も大事な要素になってきますが、やはりオリンピックで一番になることはすごく大きな意味がある。優勝し、バドミントン界はもちろん、スポーツ界全体をもっとリードしていけるような存在になりたいと思います。

(インタビュー=岩本義弘)

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