東京2020大会中の混雑予想、注意が必要な駅TOP5

2020/2/1 0:00

写真:アフロ

東京オリンピック期間中は、普段よく使っている鉄道の駅構内でも深刻な混雑が起こる可能性があります。その筆頭が「永田町駅」で、特にオリンピックの競技開始と重なる朝の時間帯の混乱が予想されています。交通ネットワークを研究している中央大学理工学部(情報工学科)の田口東(あずま)教授に、独自のデータでシミュレーションしてもらいました。

どれくらい東京に人が来るの?

期間中1日につき、最大で65万人の観戦客が東京に集まると予想されます。普段、東京近郊の路線で移動しているのは1日で約800万人ですから、比率で言えば10%に満たない増加ですが、駅・路線・時間帯によって大変な混乱を巻き起こすこともあり得ます。

オリンピック観戦客による影響は、どのようなものになるのか、数理的なアプローチでシミュレーションをしました。時刻表のある JR・私鉄の電車の乗客の移動を表現する時空間ネットワークに、人の移動量のデータを加え「東京首都圏電車ネットワークに対する時空間ネットワーク」を作成、大会の開催概要をもとに交通負荷を想定しました。

東京首都圏電車ネットワークに対する時空間ネットワークによるシミュレーション

そのシミュレーションによると、オリンピック期間中に影響を受ける駅は、主に2種類あります。一つ目は、競技場に近い駅です。オリンピックスタジアム、東京体育館、国立代々木競技場が密集するヘリテッジゾーンに近い千駄ヶ谷駅、国立競技場駅、青山一丁目駅。また、豊洲駅、国際展示場駅、東京テレポート駅がある東京ベイゾーンも、競技会場が多く影響を受けることが予想されます。

二つ目は、各会場にアクセスするときの乗り換えに便利な駅です。具体的には、ヘリテッジゾーンに近い新宿駅、代々木駅、東京ベイゾーンに近い新木場駅、両方にアクセスしやすい東京駅が挙げられます。他に、意外なところでは永田町駅と秋葉原駅も乗り換えに便利なため、混雑が予想されます。

交通機関どうなっている? 大会中に注意が必要な駅、TOP5

期間中、特に注意して欲しい駅を選ぶとしたら、この5駅です。その他には、八丁堀駅、浜松町駅、青山一丁目駅も注意が必要です。

これらの駅に共通するのは、競技場の最寄り駅ではなく、乗り換えに便利な駅である点。そもそもの利用客が多く、それに加え、様々な競技場への観戦客も同時に利用することになります。よって、東京2020大会期間中の競技場周辺への対策だけでは、効果を発揮することが難しい可能性があります。

また、時間帯にも注目することが大切です。もっとも危険なのは、朝の通勤と被る時間帯。オリンピック競技が開始されるのは午前9時からで、会社の始業時刻とちょうど重なります。そのため、何の対策もしないまま東京2020大会を迎えると、駅の中で大渋滞が巻き起こる可能性があります。

観戦客の多くが、海外や東京以外からの訪問客で、東京の複雑な電車ネットワークや、日本語に慣れていないことも心配です。悪い条件がそろってしまうと、人の流れが渋滞を起こしてしまう可能性があります。

永田町駅では最大値で40%の混雑増加も

「注意が必要な駅、TOP5」の1位、永田町駅は、会場近くの駅につながる路線が多く乗り入れる乗換駅です。このため通常でも激しい朝のラッシュの混雑が、観戦客により最大値で40%増加することが予想されます。通常客と観戦客のピークが重なる上に、観戦客のピークが高いので駅構内で渋滞が発生、移動や乗り換えに時間がかかり、さらに混雑がひどくなる可能性がある駅です。

オリンピック期間中の永田町駅の時刻ごとの利用人数の予想グラフ

混雑を避けるために必要なこととは?

混雑を避けるために、もっとも効果的なのは、大会中は会社を休みにすることです。すべての会社でこれを実現することは現実的ではありませんが、全体の10%程度でも大きな駅では効果があります。出勤時間をずらすことも効果があると思います。しかし、できればこの日は「テレワークOK」といったように、会社が主導して、この先の働き方を良くする方向につなげていければ良いと思います。

思いの外効果的なのが、観戦客の平準化です。例えば、競技会場にアクセスするときに時間をずらして早めに出発する。あるいは、最短の最寄り駅ではなく、少し歩いても別の駅を利用する。そうした少しの工夫に加えて、途中の利用経路もネットワーク全体の混雑を緩和するように積極的に案内を行うようにすると、全体的な混雑はかなり緩和するはずです。

編集協力=インフォバーン/取材・文=青山 晃大/撮影=藤牧 徹也