東京2020大会中に台風が来たらどうする? 石原良純に聞いてみた

2020/1/31 16:32

これまでのオリンピック・パラリンピック開催地で、もっとも多く台風が接近する国と言える日本。東京2020大会の期間中に台風が来たら競技はどうなる? そして台風が日本列島に上陸する可能性など大会期間の東京を中心にした天気についてタレントで気象予報士の石原良純に聞いた。

組織委員会に聞いた、東京2020大会中に台風が来たらどうなる?

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、組織委員会)によると「オリンピック・パラリンピックにおいて、競技の遅延、延期等の判断は、組織委員会、日本オリンピック委員会(JOC)、日本パラリンピック委員会(JPC)、国際競技団体等で協議を行い決定します。また、閉会式前に競技を再設定することができない中止が必要となる場合には、最終的にIOC・IPCが決定します。この手続きは東京大会も同様の見込みです。

台風が発生した際の対応については、会場別・競技別の対応計画を策定中です。大会本番時には、気象情報センターが各競技別に提供する予報を基に、上記対応計画に沿って、競技運営、観客への対応を行います」とのこと。

昨年のラグビーW杯でも台風19号の影響で3試合中止となりました。普段は雨天でも開催される屋外の競技でも台風の場合は中止の判断をされるものも多いと思います。

石原良純さん、大会中に台風が上陸する可能性はありますか?

正直に言います。今(取材時は2020年1月)の時点では、それは分かりません。(笑)

というのも、長期予報は現状、精度の高い予報技術が確立されていないのです。2月25日頃に、気象庁からその夏の大まかな天候の傾向を予測する「暖候期予報」が発表されるのですが、残念ながらあまり当てにはなりません。ましてや、台風が来るか来ないかなど誰にも予測はできません。

そもそも日本の夏の主役は、太平洋高気圧なのです。

太平洋高気圧が勢力を強め、梅雨前線を日本列島から押し上げたら梅雨明け。太平洋高気圧が大会期間中、ずっと頑張ってくれていれば台風は日本に近づけません。だから、8月は台風の発生数は多くても、日本に上陸する台風は少ないのです。※

ただし太平洋高気圧が勢いを弱めると、そのへりをまわるように日本列島に台風が接近して来ます。すべては太平洋高気圧次第ですね。

太平洋高気圧の勢力が強ければ、台風は日本に近づきにくい

※関東甲信地方(伊豆諸島および小笠原諸島を除く)への8月の接近数は、2019年:0 / 2018年:2 / 2017年:1
出典:気象庁 関東甲信地方(伊豆諸島および小笠原諸島を除く)への接近数 / 2019年の天候と台風のまとめ(速報)

ただ、8月よりも9月の方が、台風の勢力は強くなります。台風のエネルギー源は、海水の温度。温度が高いほど、台風の積乱雲自体も発達するし、大雨が降っても次々と燃料が補給されることになる。もし大会期間中に台風が接近、上陸するとなれば、遅い時期ほど強い台風に襲われることになります。

とはいえ、台風に弱い強いもありません。台風が来たら潔く、その日の観戦はあきらめましょう。台風が来たらなるべく外へ出ない。それが常識です。

猛暑にどう向き合うか?

台風よりむしろ心配なのは猛暑の競技観戦ですね。猛暑の夏にスポーツを観るのは、自分がスポーツするのと同じくらい熱中症に気をつけねばなりません。なにしろ、ここ数年の東京の暑さは熱帯地方にひけをとりません。

日中は35℃以上の猛暑日や、夜になっても25℃を下がらない熱帯夜はおろか30℃を下まわらない"超熱帯夜"も珍しくなくなってきました。安眠できていないということは体力、免疫力を低下させる。

そこで炎天下にボーッと観戦していたら誰でも倒れますよ。こまめに水分をとる。帽子や日傘を用意するのは当たり前。危ないと思う前に、途中で観戦を切り上げることも必要でしょう。

ゲリラ豪雨にも注意が必要

短時間の強雨、いわゆるゲリラ豪雨を心配される方もいらっしゃるでしょうが、こちらの予報技術は格段に進歩しています。「大気の状態が不安定で......」なんて文言を天気予報で耳にすることがあるでしょう。前日には警戒情報が出ますし、その精度は高いのです。当日は、雨雲レーダーのアプリなどで雲の動きをチェックするのも有効です。

でも一番大事なのは、自分で空を見上げることなのですよ。

ヒューッと冷たい風が突然吹いてきたら、空を見まわしてください。怪しい雲を見つけたら、早めに観戦を切り上げて退避して欲しいです。どれが怪しい雲かって? それは見たら分かりますよ。蛇だって雲だって、こわそうな奴がこわいことをするのです。

日本の天気や災害に慣れている僕らが手本になれる

台風、猛暑、ゲリラ豪雨。今の時点では、この夏の東京がどんな天気になるかは分かりません。また、近年多発する異常気象は、僕らの今までの経験則が当てはまらないことが多いのも事実です。

それでも、何か起こった時に僕らよりもっと不安になるのが海外からの観戦者です。僕らの行動が彼らのお手本になるように心がけたいものです。台風が来たら外へ出ない。そして、自分の目で空を見る。これも常識。

編集協力=インフォバーン/取材・文=徳 瑠里香/撮影=伊藤 圭