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障がいを超えた真剣勝負、この競技の魅力を伝えたい - 川村怜(5人制サッカー)

2020/7/22 19:05

5人制サッカーはブラインドサッカーとも呼ばれるパラリンピックの正式種目の一つで、5人制で行われるフットサルのルールがベースになっており、フィールドプレーヤーはアイマスクによって視覚情報を遮断した状態でピッチに立つ。
川村怜がこの競技と出会ったのは18歳の時。それから13年が経ち、2013年3月からは日本代表として活躍を続けている。自国開催のパラリンピックには並々ならぬ思い入れがあり、表彰台の頂点を目指すことはもちろん、日本全国へこの競技を普及させることを見据えながら、1年後の東京2020へ向けて準備を進めている。

2018 IBSA ブラインドサッカー ワールドグランプリ 写真:アフロスポーツ

常に、1週間後に試合があっても戦えるように

―― 東京2020の1年間の延期という決定について、川村選手はどのように受け止めましたか?

正直、延期でよかったなと思いました。中止にならなくて本当によかった。3月の時点で、ここまでパンデミックが広がるとは想像できませんでしたが、その少し前から2020年の夏に開催するのは難しいかもしれないと思っていました。
また、新型コロナウイルスが世界中に広がり、各国の選手たちがベストな状態で開幕を迎えることが困難になる中、やはり大会に臨むならば、お互いにいいコンディションで真剣勝負がしたいと思っていたので、競技者としては1年間という時間が与えられたことをプラスにとらえています。
来年の今頃、世界中がどのような状況になっているかは分かりませんが、たとえ大会の規模が縮小されたとしても、東京2020という舞台で世界各国の選手たちと真剣勝負ができるといいなと思いますね。

提供:日本ブラインドサッカー協会 鰐部春雄

―― ブラインドサッカーの選手たちは、3月以降どのような方法でトレーニングに臨んでいたんですか?

日本ブラインドサッカー協会はいち早く活動を自粛し、2月下旬から6月10日の練習再開まではグラウンドでのトレーニングを控え、オンラインツールを活用しながらできる限り自宅で実施できるトレーニングを行っていました。
フィジカルコーチから与えられたメニューや個人的なメニューを中心に身体操作や筋力強化に取り組み、さらに心肺機能が落ちないようにインターバルトレーニングなどを意識的に取り入れましたね。自宅でもボール感覚を養えるようにと、テクニカルコーチによるボールを用いたトレーニングも週に1、2回行っていました。

―― およそ3カ月半、身体的なトレーニングを積みつつ、精神的なコントロールも大変だったと思います。どのようなことを意識して練習に取り組んでいたんですか?

コーチからも言われたんですが、自粛期間をただ何となく過ごすのではなく、仮に自粛明けの1週間後に試合があっても戦えるような準備をしておくこと、これを常に考えながら日々を過ごしていました。グラウンドでトレーニングができる日が戻ってきたら、その1週間後にはもう試合に臨めるよう、心も身体もいい状態を作っておくことを強く意識していましたね。

提供:日本ブラインドサッカー協会 鰐部春雄

障がいを超えた真剣勝負こそ、この競技の魅力

―― 18歳の時から10年以上にわたり第一線でプレーしてきた川村選手にとって、この競技の魅力はどういったところに感じていますか?

一般的に見れば、「視覚障がい者がサッカーをしていてすごいな」という部分になると思います。僕自身もこの競技を初めて見た時には同様の感想を持ちました。でも、今の僕が抱くブラインドサッカーの魅力の本質的な部分はちょっと違うんですよね。
ブラインドサッカーのチームは、視覚障がいのあるフィールドプレーヤー4人と、健常者のゴールキーパーの5人で主に構成されています。僕のシュートを健常者のゴールキーパーが本気で止めますし、そこには視覚障がいの有無という要素は全く存在しないんです。

参考)ブラインドサッカーのルール(日本ブラインドサッカー協会)

提供:日本ブラインドサッカー協会 鰐部春雄

―― 健常者と障がい者がフェアに戦う競技は、パラスポーツの中でもほとんどありません。

ブラインドサッカーが唯一の競技なのではないかと思いますね。健常者が一選手としてパラリンピックに出場するという多様性もすごいですし、何より障がいを超えて健常者との真剣勝負に挑めるという部分こそが、僕はブラインドサッカーの大きな魅力だと思っています。この競技を多くの人々へ伝えていきたいですし、社会に浸透していってほしいという願いを持っています。

―― ブラインドサッカーは選手たちがプレーすることを心から楽しんでいますし、競技としておもしろいから観戦している人たちもとても楽しめるスポーツですよね。

一般的に視覚障がい者のイメージは、白杖をついたり、手すりなどを触りながらゆっくり歩いている姿なのではないかと思います。でも、ブラインドサッカーのピッチの中では、選手たちが機敏に走り回り、本気でぶつかり、激しくボールを奪い合っています。だから、初めて見る方はその激しいプレーの数々に衝撃を受けることが多いですし、見ていて非常におもしろい競技なので、ぜひ多くの方に観戦してほしいですね。

2018 IBSA ブラインドサッカー ワールドグランプリ 写真:西村尚己 アフロスポーツ

目標は金メダル、そして、ブラインドサッカーの魅力を日本に浸透させたい

―― 川村選手は日本代表のキャプテンも務めています。この先、東京2020に向けて選手一人ひとりとのコミュニケーションなど、チーム全体の雰囲気作りも大切になってきますね。

特に自粛期間中は、チームメイトと直接会えない状況でしたから、みんなの精神的な部分がとても気になりましたね。自宅でのトレーニングに意欲的に取り組めない選手や、どうしてもモチベーションが低下してしまう選手もいると思っていたので、みんなをもっと引き上げていかなければいけないという意識がありました。
やはりチームスポーツなので、全体の雰囲気を高めていくためにも、チームメイトのことは気に掛けていましたし、その一環としてチーム全体でのオンライントレーニングを始めることにしたんです。もっとも、オンライントレーニングはコーチの指示に沿って選手たちがメニューをこなしていく形だったので、それとは別に、選手間のLINEグループを活用して、お互いの近況を報告し合ったり、自主トレのメニューを共有したり、気軽にコミュニケーションを取れる時間と場所を設けていました。

2018 IBSA ブラインドサッカー ワールドグランプリ 写真:西村尚己 アフロスポーツ

―― 日本代表はチームワークを武器に戦うスタイルですから、世界の強豪と戦う上で、その成熟度を高めていくことは必要不可欠です。

そのとおりですね。選手たちは仕事をしながら競技に取り組んでいるので、チーム全体で練習できる時間には限りがありますし、自粛期間を経て、改めて1回の練習の大切さや重みを痛感しました。選手全員が協力し合い、チーム全体で戦うスタイルこそ僕らの強みだと思うので、1回1回の練習を大事にして、僕らのストロングポイントをより高めていけるように、この先の1年間を過ごしていきたいです。

―― 川村選手の中で、東京2020とはどのような大会だと位置づけているのでしょうか?

目標は金メダルを獲得することです。同時に、僕ら日本代表が東京2020で活躍することによって、ブラインドサッカーの魅力の本質的な部分を多くの人々に届け、日本全国に浸透させていきたいと思っています。僕らのプレーや大会での結果がそのきっかけになると思いますし、一人でも多くの人にブラインドサッカーに触れてもらい、新しい価値観を身につける機会にしてほしい。この願いを持ち続けながら、東京2020に挑みたいと思っています。

提供:日本ブラインドサッカー協会 鰐部春雄

(インタビュー=岩本義弘)

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