東京2020大会、日本はいくつメダルが取れる? 武井壮が大胆予想

2020/1/31 16:31


56年ぶりに東京で開催されるオリンピック。生まれ変わったオリンピックスタジアムをはじめ、多くの声援が集まるホームを舞台に、日本代表選手団は、過去最多となったリオデジャネイロ大会のメダル数41個を超えてくることが期待される。日本のメダルはいくつになる? 注目すべき競技や選手は? などを、陸上10種競技の元日本チャンピオンでスポーツに造詣が深い武井壮に聞いた。

リレーは金メダルが狙える、陸上の注目ポイントは?

オリンピックの花形といえば、やっぱり陸上競技ですよね。まず僕は男子100m走に注目します。100mの日本選手は、過去最高に層が厚いんですよ。9秒台を叩き出した選手が3人(サニブラウン・アブデルハキーム選手、桐生祥秀選手、小池祐貴選手)もいますから。ここに、山縣亮太選手、多田修平選手、ケンブリッジ飛鳥選手、白石黄良々選手が続く。非常にレベルが高く、誰が代表権を勝ち取るのか。

4×100mリレーは金メダルを狙えるポジションまできていますよ。お家芸である緻密なバトンパスワークに加えて、走力も世界のトップクラスに入ってきている。ただ、イギリス、ドイツ、フランスなどヨーロッパ諸国も、高いバトンパスの技術を身につけ始めているし、中国も高い走力の選手が多いので、混戦になると思います。そして今大会は、アメリカが強い。選手の走力は群を抜いているので。バトンパスの技術次第では、絶対王者になる感触はありますね。

2019陸上 日本選手権 男子100m 左から順に 小池祐貴選手、桐生祥秀選手、サニブラウン・アブデルハキーム選手 写真:松尾/アフロスポーツ
2018 ベルリンマラソンで2時間1分39秒の世界記録を叩き出した エリウド・キプチョゲ選手(ケニア)写真:ロイター/アフロ


一方、男子マラソンは世界とまだ力の差があります。ケニア、エチオピアといったアフリカ諸国の絶対王者がいますし、それ以外の選手も国籍を移して代表権を獲得している。世界記録保持者、エリウド・キプチョゲ選手(ケニア)が出した最速のタイムは非公認ながら1時間59分40秒(2019年10月 イネオス1:59チャレンジ)。一方で日本記録は大迫傑(すぐる)選手の2時間5分50秒、これは距離にすると2km以上の差です。ただ、自国開催の利点を活かしコースを完全攻略できれば、メダルも夢ではない。その逆転劇にはきっとドラマがありますよ。

柔道は全階級で金メダル、バドミントン、ゴルフも金を狙える

大野将平選手、リオ五輪73kg級決勝でも一本勝ちで金メダルをもぎ取った 写真:ロイター/アフロ

柔道は全階級で金メダルを狙っていると思います。注目は世界柔道選手権2019東京大会でも全試合一本勝ち金メダルをもぎ取った、スーパースター大野将平選手(73kg級)。日本武道館で日本柔道の世界が憧れるその美しい姿を、全世界に見せてほしいと思います。

それから、新たな日本のお家芸とも言えるバドミントン。男子シングルスの桃田賢斗選手は世界中の選手が打倒・桃田で挑んでくる中勝ち切って、18年、19年は世界選手権、アジア選手権を2連覇と無双状態、マレーシアでの残念な交通事故もありましたが、最も金メダルに近い選手だと思います。

ゴルフも男女ともに、実力のある選手が揃っているので、金メダルを狙えますよ。丸山茂樹監督が率いる代表チームに誰が入るのか楽しみですね。男子は、今平周吾選手、松山英樹選手、そして石川遼選手もそこに迫っています。女子は、鈴木愛選手、畑岡奈紗選手。ここに渋野日向子選手が食い込んでくるか。誰が出ても優勝できる一発の力を持った選手ばかりです。

丸山茂樹監督(右)率いるゴルフ日本代表でも注目されるのは世界を股にかけ活躍する松山英樹選手(左)写真:ロイター/アフロ

新競技のクライミング、空手、サーフィン、スケートボードもメダル有望

2019世界選手権2位の実力を誇る女子クライミング界の第一人者、野口啓代選手 写真:西村尚己/アフロスポーツ



スポーツクライミングは男女揃って金を狙えます。男子は楢崎智亜(ともあ)選手。2019年の世界選手権の複合で優勝した実力者で、金メダル最有力候補です。女子はやっぱり野口啓代選手。日本でこの競技を長年引っ張ってきた功労者です。若手が台頭する中での「最後のオリンピック」、力を発揮してほしい。

空手は、形も組手も金メダルを狙える。女子 形の清水希容選手には、ぜひ世界のトップに立ってほしい。最高のライバルであるサンドラ・サンチェス選手(スペイン)との熾烈な戦いが予想されます。ほかにもサーフィンの五十嵐カノア選手、スケートボードの西村碧莉(あおり)選手にメダルを期待しています。BMXの中村輪夢(りむ)選手も注目ですね。

全日本空手道選手権を2013年から7連覇している清水希容選手(空手道・形)写真:森田直樹/アフロスポーツ


パラリンピックは全競技に注目すべし

パラリンピックはほぼ全種目を体験していますが、「健常者がするスポーツの障がい者版」ではなく、どれもが全く別の楽しさを感じられるスポーツなんです。まだまだ知らない世界があって、驚くばかりです。全種目に注目ですよ。

パラ陸上走り幅跳びで世界記録を保持するマルクス・レーム選手(ドイツ)写真:アフロ


例えばパラ陸上の走り幅跳びは、前回大会のオリンピック優勝記録を上回っているんですが、このように「人間とテクノロジーの融合」で可能性や能力を広げていけることがパラリンピックの魅力のひとつだと思っています。今大会でも、オリンピックを超える記録を叩き出す新しい世界が見られるかもしれません。

またパラスポーツは見るだけでなく、各会場などで行われている体験イベントに参加すると、選手たちの能力がどれだけ高いものかが理解できて、競技の見方が完全に変わりますよ! オススメの楽しみ方です。

ずばり、日本のメダルは「過去最多」

オリンピックもパラリンピックも何個メダルを取れるかはわからないけど、過去最多数になるのは間違いないと思います。


でも僕自身は、メダルにかかわらず、全競技、全試合におけるアスリートたちの鍛え抜かれた肉体と技術が生み出す瞬間を楽しみたいと思います。世界最高峰のスポーツの祭典は、メダリストだけでなく、どこを切り取っても誇らしい、素晴らしい戦いになるはずなので。

みなさんにも、我が国日本、東京のオリンピックスタジアムをはじめとした多くの会場で、新しいスポーツの歴史が刻まれる瞬間を見逃さずに、楽しんでほしいです。

編集協力=インフォバーン/取材・文=徳 瑠里香/撮影=伊藤 圭