陸上

 選手は障がいの特性に合わせ義手や義足などの用具を装着し、車いすを使う種目では「レーサー」と呼ばれる軽量の競技用車いすも使用される。視覚障がいの競走種目では選手を誘導する「ガイドランナー」が伴走し、跳躍や投てき種目では「コーラー(声や手をたたいて選手に音で知らせる人)」が情報を伝える。パラリンピックでしか見られない「こん棒投げ」はボウリングのピンに似た、長さ約40センチの木製の棒をどちらか片方の手で投げる。

トラックの見どころ

【写真:アフロ】 【写真:アフロ】

 クラス分けは公平に競技を行うための工夫だが、各選手のクラスは専門の資格を持つ判定員が医学的、運動機能的な側面から審査して決める。トラック競技のクラスはアルファベットのTと2桁の数字の組み合わせで表記される。数字は10の位が障がいの種類を、1の位は障がいの程度を表し、1の位の数字が小さいほど障がいの程度が重いことを意味する。  競技ルールはオリンピックと同じルールを基本に、障がいの内容や種目の特性に応じて一部のルールが変更されている。例えば、視覚障がいクラスではT11(全盲など)の選手全員 とT12(弱視) の一部の選手(伴走者と走るか単独走か選べる)は、目の代わりとなり、視覚から得られる情報を補う伴走者(ガイドランナー)とロープを握り合うなどして並んで走る。ガイドランナーは選手の安全を第一に、コース状況やタイム、周囲の様子などを言葉で伝え、フィニッシュラインへと導く。ただし、選手を先導したり、フィニッシュラインを選手より先に越したりすると失格となる。  肢体不自由のクラスで、四肢に欠損がある選手は左右バランスを取ることを目的に、競技用の義肢を使用できる。特に義足は近年、素材や形状などの研究・開発が進んでおり、ルールの範囲内で選手は自身の障がいに合わせて調整も可能だ。だが、義足は想像以上に固く、義足の反発力を競技力に活かすためには、選手自身に義足を十分にたわませ反発力を受けとめるだけの筋力や技量が必要だ。同じモデルの義足を使っていても、記録に差が見られるのはこうした点にも要因がある。  車いすクラスは、レーサーと呼ばれる高速走行用に開発された競技用車いすを使用する。少なくとも3つの車輪があるが、風よけやギアなどは装着できず、選手は腕力など上半身の力だけで操作する。ルールの範囲内で自身の障がいや体格に合わせて各パーツをカスタマイズできる。軽量性などレーサーの性能は年々向上しているが、座席の高さや車輪を漕ぐための部品のサイズなどを自分仕様にするプロセスが欠かせない。自身の力を最も効率よく車輪に伝えられるよう、様々なパーツをミリ単位で微調整し、トライアンドエラーを繰り返しながら最適なポジションやセッティングを探ることも記録向上には欠かせない地道なプロセスだ。  オリンピックに比べると実施される種目は少ないが、クラス別に競技するため1種目の決勝レースの数が多いのが特徴だ。その代表種目が100m走で、リオ2016大会では男子16クラス、女子14クラスの決勝レースがそれぞれ行われ、全部で30人の100m金メダリストが誕生した。 引用:東京2020組織委員会

フィールドの見どころ

跳躍  対象となる障がいクラスは、車いすクラスを除いた全クラスになるが、実施種目とクラスは大会ごとに異なる。障がいクラスはアルファベットのTと障がいの種類と程度を表す2桁の数字で表される。  視覚障がい(T11/12)の選手は目からの情報を補うアシスタントと競技を行うことが認められている。選手を助走開始地点や競技エリアまでエスコートし、助走の方向を教えるガイドと、競技中に助走の方向や踏切地点などを手拍子や声で伝えるコーラーを伴うことができる。T11クラスは2つの役割を2人で担当しても1人で兼務してもよい。競技に支障がなくルールの範囲内なら、声かけの方法やコーラーが立つ位置などは自由だ。走幅跳では、踏切板ではなく少し幅の広い踏切エリアが設けられているのも特徴だ。  T11(全盲など)の選手のみ、見え方の違いによる公平性を保つためアイマスク着用が義務付けられている。暗闇の中でコーラーの発する音声だけが頼りになる。声のする方へ、助走路をできるだけ真っ直ぐに思い切り走り、「ここ」と信じる位置で踏み切り、空中へ跳び出す。恐怖に打ち克つ勇気を得るには日々の練習で互いの信頼関係を高めるプロセスが欠かせない。手をたたき続ける、歩数に合わせた数を数えるなど、それぞれの方法を見比べるのも面白い。  切断・機能障がいクラスでは左右のバランスをとるため、競技用の義足や義手を使用する選手も多いが、実はトラック競技と異なり、跳躍競技では義足の着用義務はなく、ホッピング(片足跳び)も認められている。選手は自身の力を最大限に発揮できる競技方法を探り、より高みを目指す。 投てき  全ての障がいクラスが対象となり、アルファベットのFと障がいの種類と程度を示す2桁の数字で表される。視覚障がいクラスではF11、12クラスの選手はガイドとコーラーを伴えるが、兼務することが条件となる。跳躍競技同様、投てきサークルに選手を導き、手拍子や声かけで投げる方向を知らせる。  車いすクラスの選手も対象だが、投てき台と呼ばれる道具を用いて競技する。 投てきの際、脚やお尻が浮かないよう体をベルトなどで固定でき、安定した投てきが可能になる。つまり、助走などはできず、座ったまま上半身の力だけで投げることになる。選手はルールの範囲内でカスタマイズした自分専用の台を使うこともできる。  投てき競技の中にはパラリンピック独自のこん棒投という種目もある。車いすクラスの中でも障がいが重度であり、手にも障がいのある選手を対象とし、ボウリングのピンに似た長さ約40センチメートル、重さ397グラムのこん棒を投げて距離を競う。投げ方に制限はなく、後ろ向きに投げることも認められている。  また、知的障がいクラスは障がいの程度によるクラス分けはなく、TまたはF20の1クラスのみだが、個々の選手で障がいの特性が大きく異なるのが特徴だ。 引用:東京2020組織委員会

ロードの見どころ

 他の種目同様、マラソンにおいても複数のクラスが実施されるため、順位はクラスごとに決められる。なお、実施されるクラスは大会ごとに検討され、リオ2016大会では初めて視覚障がいクラスの女子が採用された。  ここでは、リオ2016大会での実施クラスを例に挙げ、レースの見どころを紹介する。視覚障がいクラスはT11とT12クラスのコンバインドで実施された。T11(全盲など)の選手は必ず、目の代わりとなって視覚から得られる情報を補い、安全に導く伴走者(ガイドランナー)と走らなければならず、T12の選手は単独走か、伴走者と走るかが選択できる。そのため、レースには単独走の選手と伴走者とのペアの選手が混在する。ペアで走る選手は伴走者とロープを握り合うなどして並んで走るので、フォームを合わせるなどコンビネーションを磨くことが大切だ。選手より先に伴走者がフィニッシュラインを越すと失格となるなど、伴走者はあくまでも選手のパフォーマンスをリードではなく、サポートする存在でなければならない。現行のルールでは2人の伴走者が認められており、コース上の決められた地点で交代できる。選手は、コースの凸凹や起伏、曲がり角など、緊張感をもちながら走っている。  マラソンは気象条件も大きな要素で、気温や湿度が高い場合は完走率も低くなる。参加人数の関係で、集団でなく、単独で走ることも少なくない。過酷な条件の中、1人でペースを守り、レースをつくる精神的な強さも必要になる。  一般道路もコースとなることから、坂道などの起伏や曲がり角の数などがタイムに与える影響も大きい。また、路面状況も注意が必要で、例えば、石畳のように細かな起伏が続く路面は、視覚障がいの選手にはつまずきや転倒、車いすの選手にはレーサーのパンクなどの危険性も高い。また、急な曲がり角などで転倒する車いすの選手も少なくない。  麻痺や切断など上肢に障がいがあるクラス(T45/T46)の選手は、腕の振りのバランスが重要となる。給水コップやスポンジの取り方などもそれぞれ工夫しながら、フィニッシュラインを目指す。  車いすのT53/54クラスは、少なくとも3つの車輪があり高速走行用に開発された競技用車いす(レーサー)で競技を行わなければならず、それを腕だけで漕いで42.195キロメートルを走り抜く。レーサーの素材や性能は年々進化しているが、それを活かすには選手自身が筋力や技量を磨いたり、個々の障がいに合わせてルールの範囲内でレーサーをカスタマイズしたりするなど、使いこなすための努力が欠かせない。 (引用:東京2020組織委員会)

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