コロナ禍での東京パラリンピックが閉幕
ボランティアも感染対策に尽力

13日間にわたる熱戦に幕。東京パラリンピック閉会式は「Harmonious Cacophony(ハーモニアス カコフォニー)」のコンセプトのもと進んだ 13日間にわたる熱戦に幕。東京パラリンピック閉会式は「Harmonious Cacophony(ハーモニアス カコフォニー)」のコンセプトのもと進んだ【写真:ロイター/アフロ】

 東京パラリンピックは5日、国立競技場で行われた閉会式をもって、13日間にわたる全日程を終えた。会場の記者席にはモニターも設置されており、上空から映し出される国立競技場と、黄と赤のネオンが輝くラーメン店『ホープ軒』を見ながらふと思った。  大会期間中、何度も訪れた国立競技場の目の前にあるのに、ホープ軒のラーメンを一杯も食べられなかったな、と。  コロナ禍で行われた前例のない東京パラリンピック。東京五輪同様、バブル下で行われた今大会は、メディアも基本的には会場とホテルの往復のみの行動で、食事も各会場内のフードサービスか、テイクアウトが基本だ。特に、海外からの選手・関係者には、東京パラリンピックだけでなく、観光(そんな余裕はないか)や、東京の食事も楽しんでほしかったが、それもかなわなかった。もちろん、医療体制がひっ迫している中、医療従事者の方々や、まず開催できたことに感謝をし、それ以上を望んではいけないだろう。  ただ、海外の選手・関係者に、1964年の東京五輪・パラリンピック以前から営業している(※当時は別の場所で営業)ホープ軒の背脂醤油味のラーメンを食べてほしかったなと、やはりモニターを見ながら思ってしまった。

メダルは目標に達せずも、リオから躍進

 閉会式のコンセプトは「Harmonious Cacophony(ハーモニアス カコフォニー)」、調和のとれた不協和音だ。式の流れは、実況ページで紹介しているので割愛させていただくが、開会式同様に「多様性と調和」を表したストーリー性のある素晴らしい演出だった。

日本勢前回リオパラリンピックから大きく躍進。五輪同様、メダルラッシュで日本を沸かせた 日本勢前回リオパラリンピックから大きく躍進。五輪同様、メダルラッシュで日本を沸かせた【写真:ロイター/アフロ】

 日本勢の成績に関しては、金13、銀15、銅23の計51個のメダルを獲得した。目標の「金メダル20個」には届かなかったが、2016年リオデジャネイロ大会の24個(金ゼロ)と比較すると、大きく躍進したと言えるだろう。競泳でのメダルラッシュや、初採用となったバドミントンで9個のメダル(うち金3個)、花形競技である車いすバスケットボール男子の銀メダルなど、見どころも多かった。  コロナ禍の開催においては、スポーツの側面だけでなく、東京五輪も含め、大きなクラスターを発生させず、まずは無事に開催できたことをたたえるべきだろう。一方で、東京都では連日3000人前後の新規感染者を記録し、重症患者も300人に迫っている。そんな状況で開催された「東京パラリンピックは本当に成功だったのか?」という疑問も付いて回る。その答えはすぐに出ないかもしれない。ただ、それでもスポーツの結果だけでなく「多様性とは何か?」「共存社会とは何か?」を考える良いきっかけになったことは間違いないと思う。  多様性を考える上で、パラリンピックが果たす役割は大きい。大会期間中、パラスポーツを長年取材し続けている、スポーツライターの宮崎恵理さんにインタビューを行った。そこで聞いたのは「パラリンピックこそスポーツの本質が見える」という話だ。

 スポーツは、身体能力や体の大きさが違う選手たちが、トレーニングやテクニックを磨き競い合う。パラリンピックはその違いのひとつに障がいがある。まったく同じ障がいなどないから、それぞれが自分に合ったトレーニングやテクニックを追求し、勝負に挑む。これこそが「スポーツの本質」というわけだ。  アンドリュー・パーソンズIPC(国際パラリンピック委員会)会長が閉会式のスピーチで発した「スポーツは私たちに多様性の中の調和を見せてくれた」というコメントにもあるように、スポーツを通じたメッセージが少しでも世界に伝わったなら、コロナ禍での東京パラリンピック開催の意義はあったのかもしれない。

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