起用に応えた古澤の“初スリーポイント”
車いすバスケ、日本一丸で頂点へあと1つ

京谷HCの起用に応えて今大会初のスリーポイントを決めるなど、英国戦で活躍した古澤 京谷HCの起用に応えて今大会初のスリーポイントを決めるなど、英国戦で活躍した古澤【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

 藤本怜央、香西宏昭らベテランが長年かけて作り上げてきた土台に、鳥海連志、古澤拓也、赤石竜我ら新進気鋭の若手が加わり、ベンチも含めた史上最強の12人の車いすバスケットボール男子日本代表が歴史を作った。3日の準決勝で、2018年世界選手権王者の英国に79-68で勝利しメダルを確定させた。 「#日本一丸」  もともとは2019年に、男子バスケ代表やBリーグを盛り上げる合言葉だったが、今は車いすバスケの勝ち上がりとともに、Twitterのハッシュタグでまた見かけるようになった。それは、コート上の選手やベンチメンバー、そしてコーチやトレーナーなどが一丸となって戦う姿に、みな心を打たれるからだ。

やっと来た古澤のスリーポイント

 英国戦でも“異次元のスタッツ”の鳥海は、20得点8リバウンド8アシストの“ほぼトリプルダブル”に加え1スティールを記録。準々決勝の豪州戦で8個記録したターンオーバー(TO)を1つに抑えるなど、またプレーヤーとして1つレベルが上がった感がある。  藤本は8得点に終わったが、試合開始早々、リー・マニングにバスケットカウントを決められる嫌なムードを断ち切るスリーポイントを決めるなど要所で活躍。香西もシュート確率は驚異の78%でスリーポイントは3本の試投全て沈める、“ゾーン”状態だった。  しかし、この試合で最も印象に残った活躍をした選手を挙げるなら、それは古澤拓也だろう。  ポイントガードの古澤はシューターとしての役割も期待されているが、今大会ここまでスリーポイントの成功がゼロだった。シューターは多くの場合、シュートを多く打ってリズムをつかむが、今大会、古澤はそれができていない。藤本、香西、秋田啓など、日本の得点源の選手が持ち点3.5以上で、ローポインターと組み合わせることの多い日本のラインアップだと、持ち点3.0の古澤はあまり多くのプレータイムをもらえていない状況だ。 「(大会を通して)調子は良かったが(スリーポイントが)入ってくれない」と話していたが、こういう時は弱気になり、さらにシュートが落ちたり、そもそも打てなくなったりすることがよくある。  しかし古澤は英国戦でチャンスをものにした。第2Q残り1分52秒、日本6点ビハインドで、この日初めてコートに入ると、相手の攻撃を防いだ直後に今大会初めてのスリーポイントを沈めた。外したらさらにリードを広げられる可能性もある、難しい選択だったが、シューターとしての「自信」で決めたスリーポイントだ。 「自分を信じて、京谷(和幸ヘッドコーチ<HC>)さんからも『信じる』と言ってもらえていたんで、勝つことだけを考えて打ったら入って。本当に良かったなって感じです」  試合後にあの場面の心境を聞くと、少し表情を緩めて答えた。 「スタートで出ても、ベンチから出ても自分がやることは変わらない。チームに勢いを与えたり、流れを変えるプレーを積極的にやっていきたいと思います」

MVP級の活躍を見せる鳥海(写真中央)とともに、2017年の男子U23世界選手権でベスト4入りの原動力となった古澤(写真左)。今大会は出場機会に恵まれていないが、京谷HCの信頼も厚い MVP級の活躍を見せる鳥海(写真中央)とともに、2017年の男子U23世界選手権でベスト4入りの原動力となった古澤(写真左)。今大会は出場機会に恵まれていないが、京谷HCの信頼も厚い【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

 古澤は2017年の男子U23世界選手権でキャプテンとして日本を4強に導き、鳥海とともに大会ベスト5に選ばれるほどの選手だ。しかし、今のチームではベンチから出て流れを変える役割がある。英国戦では、それを見事に遂行し、日本を決勝に導いたと言っても過言ではないだろう。約12分の出場ながら9得点を挙げる効率の良い攻撃も見せた。  京谷HCも試合後に、指揮官しての思いを問われたときに、古澤を例に出してコメントしている。 「毎回の試合で、選手に気持ちよくプレーさせるということを常に考えてやっているので、ベンチにいるときの選手の表情、ウォーミングアップ中の選手の状況、午前中の練習の状態だったりとか、そういった細かいところを見ている。例えば今日の古澤は、練習の時にスリーポイントをスパスパ決めていたので、当たっているから出してみようと思ったら、1本目(のシュート)でスリーポイントを決めてくれた。起用に選手が応えてくれるので、コーチとしては非常にありがたいなと、選手たちに感謝ですね」

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