車いすバスケ、守りの軸となる鳥海連志
“異次元のスタッツ”だけではない神髄

1次リーグ最終戦、トルコを67-55で破り、グループAの2位通過を決めた日本。この試合で特筆すべき活躍を見せた鳥海(写真右) 1次リーグ最終戦、トルコを67-55で破り、グループAの2位通過を決めた日本。この試合で特筆すべき活躍を見せた鳥海(写真右)【写真は共同】

「40分間通して、しっかりとディフェンスで勝った試合かなと思っています」  試合後、取材エリアで鳥海連志は開口一番こう答えた。秋田啓も「自分たちのディフェンスが有効だった」と胸を張る。取材エリアに現れた多くの選手が、ディフェンスの出来をたたえる、1次リーグの良いところが詰まった素晴らしい試合だった。

京谷和幸HC、1次リーグは「80点」

 車いすバスケットボール男子日本代表は1次リーグ最終戦、トルコを67-55で破り、グループAの2位通過を決めた。  京谷和幸HCは試合後、「決勝トーナメントに行けたというところで、80点くらいですね」と1次リーグの点数をつけたが、メダルを獲得する力があることを証明できる5試合だったと言えるだろう。 「うちのエースは12人」と、第3戦のカナダ戦後に京谷HCがコメントした通り、「全員バスケ」、「日替わりヒーロー」でここまで戦ってきた日本。  トルコ戦では、得点面で香西宏昭が22得点、藤本怜央が19得点、秋田が12得点と3選手が二桁得点を挙げるバランスの良いオフェンスを見せた。ディフェンスでは、出場した全選手がプレスをかけ続け、40分間チームでしっかりと守ったが、中でも鳥海の働きは特筆すべきものがあった。

鳥海は最後まで集中力とスタミナを切らさず、素晴らしいディフェンスを見せた 鳥海は最後まで集中力とスタミナを切らさず、素晴らしいディフェンスを見せた【写真は共同】

 試合の立ち上がりは決していい内容というわけではなかった。前節のスペイン戦で、初めてスターティングファイブを入れ替えた日本だが、この日は最初の3戦と同じ、豊島英、鳥海、川原凜、藤本、秋田が先発に名を連ねた。ティップオフ早々から、トルコのプレッシャーにミスを連発。鳥海がいきなり2つのターンオーバーを犯してしまう。ただ、このミスは個人というよりは、チーム全体の流れや選手間のコミュニケーションの問題で起こったことであり、鳥海も「1Qはオフェンスがかみ合わなかった」と試合後に語っている。車いすバスケットはジャンプがほぼできず、相手ディフェンスの位置により車いすの進路も限られるため、多少のズレでパスミスが起こりやすい。  試合早々いきなり2-10と引き離されてしまうが、香西宏昭と古沢拓也を投入すると、香西は得点だけでなく、ハンドラーとしても機能。「ボールハンドルを任せられる分、僕がチャンスメイクに回ったので、チームとしてうまく連携が取れてきたというのがよかったところかなと思います」と、鳥海は振り返った。ディフェンスでも粘りを見せ、第1Qは最終的に9-12の3点差まで迫った。  第2Qでは香西が今大会絶好調のスリーポイントを沈めると、藤本も奮起。得点源の2人を中心にポイントを重ね、最終的に28-27の1点リードで前半を終えた。香西は最初の2戦こそ一桁得点に終わったが、その後の3戦は平均19得点と、シックスマンでチームにいい影響を与えている。オフェンスのミスから終盤に連続失点もあり、最終的には15失点となったが、このクォーターもディフェンスで流れを引き寄せたと言えるだろう。  後半に入ると、試合の流れは徐々に日本のペースとなった。第3Qは序盤に連続で得点を許した影響もあり、17-17の同点でリードを広げられなかったが、第4Qでは試合を通して緩めなかったディフェンスが生き、疲労も見えたトルコはミスを連発する。結局、このクォーターだけで11点差をつけて、最終的には67-55の12点差で完勝した。鳥海は後半だけで4つのスティールを記録するなど、日本選手唯一の40分間の出場ながら最後まで集中力とスタミナを切らさず、素晴らしいディフェンスを見せた。

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