快勝の侍ジャパン、野村弘樹が次戦へ提言
「4番の鈴木を下位に回すのも一案」

日本の2-1で迎えた4回表。村上と甲斐の連続ヒットで1アウト一三塁とすると、続く山田が3ランを放ち、試合の流れを一気に引き寄せた 日本の2-1で迎えた4回表。村上と甲斐の連続ヒットで1アウト一三塁とすると、続く山田が3ランを放ち、試合の流れを一気に引き寄せた【写真は共同】

 オープニングラウンド第2戦に臨んだ野球日本代表「侍ジャパン」が、メキシコを相手に7-4と快勝した。初回に先制を許したが、2回に同点に追いつくと、続く3回に逆転。4回には山田哲人が3ランを放ち、一気に突き放した。これで2連勝。A組1位が決定し、準々決勝進出を決めた。元横浜ベイスターズ(現DeNA)で、現在は野球解説者を務める野村弘樹氏に、メキシコ戦の解説に加え、今後の戦いでキーマンになる選手を挙げてもらった。

山田の3ランが試合の雰囲気をガラッと変えた

4番の鈴木はこの日も無安打。スタメン9人の中で、唯一まだヒットが出ていない 4番の鈴木はこの日も無安打。スタメン9人の中で、唯一まだヒットが出ていない【Getty Images】

 ポイントとなったのは山田(哲人)選手の3ランだと思います。ホームランは試合の雰囲気、流れ、空気をガラッと変える。日本はあの一発で楽になり、メキシコは苦しくなった。山田選手はこの本塁打を含めて2安打4打点、盗塁も2つ決める大活躍でしたが、一つひとつのプレーの中身が濃かった。初回には先頭打者で7球粘った末に四球で出塁し、次の坂本(勇人)選手の打席で盗塁をきっちり決めました。この場面は得点にはつながりませんでしたが、4回の3ランを含めて打線を勢いづけました。  坂本選手も7回にダメ押しの左越えアーチを放ちましたが、光ったのは打撃だけではありません。3回に左翼線二塁打で出塁すると、吉田(正尚)選手の打球が三遊間に転がった時には、二遊間で絶妙な距離を取り、その動きに一瞬気を取られた三塁手の一塁への悪送球を誘いました。浅村(栄斗)選手の投ゴロで本塁生還しましたが、高度な技術に裏付けられたスキのない走塁があの勝ち越し点を生んだと思います。盗塁のように記録に残るプレーではありませんが、非常に価値のある効果的な走塁でした。  この試合では打線が初回に29球、2回に22球を相手投手に投げさせました。追い込まれてもファウルで粘ることで、他の打者と相手投手のデータを共有できる。プラスアルファを得られるのは打者だけではありません。先発の森下(暢仁)投手は立ち上がりは表情が硬く、本来の制球力ではなかったですが、打線が粘り強い攻撃をすることで、ベンチで頭の中を冷静にする時間ができたのでしょう。2回以降はきっちり立ち直りました。  好調な打線の中で心配なのは、4番の鈴木(誠也)選手です。初戦に続き、2戦目も無安打とスタメンの選手の中で唯一まだ安打が出ておらず、打撃内容も良くない。連勝したので、そのまま4番に据えるという考え方がありますが、短期決戦では調子が上がるのを待っていられません。レギュラーシーズンだったら4番で我慢強く起用しますが、下位で打たせるのも一案だと思います。  柳田(悠岐)選手、村上(宗隆)選手、浅村(栄斗)選手と、他に4番を打てる選手もゴロゴロいる。ポイントゲッターとしての打撃が求められる4番にそのまま鈴木選手を置くのか、今後の起用法が気になりますね。

国際試合では「2番手投手」がポイント

先発・森下が5回まで投げ、6回からは日本ハムのルーキー伊藤が登板。キレのある直球を主体に素晴らしい投球を見せ、2回を無失点に抑えた 先発・森下が5回まで投げ、6回からは日本ハムのルーキー伊藤が登板。キレのある直球を主体に素晴らしい投球を見せ、2回を無失点に抑えた【写真は共同】

 投手陣の中で大きな収穫は、伊藤(大海)投手だと思います。6回から救援登板して、2回1安打無失点ときっちり抑えました。直球にキレがあり、変化球もまとまっていた。  国際試合でポイントになるのが、先発投手が降りた後に登板する「2番手投手」です。ドミニカ共和国戦は0-0の7回から登板した青柳(晃洋)投手が集中打を浴びて2失点を喫し、逆転を許しました。僕も現役時代に先発、救援のどちらも経験しましたが、シーズンで先発を務めていた投手が救援で結果を出すのは非常に難しいものです。  侍ジャパンでは青柳投手、伊藤投手に加え、大野(雄大)投手、千賀(滉大)投手が、この2番手投手の役割を担うことになると思います。試合までのコンディションの整え方、気持ちの高め方など、先発とは違う苦労がいろいろあると思います。青柳投手は初戦で痛打を浴びてしまいましたが、変則右腕として活躍してもらわなければ困る投手です。次はどこの場面で起用するか。首脳陣の決断が注目されます。  好調の選手、調子が上がらない選手とそれぞれいますが、国際試合は勝つことが全てです。全部が全部うまくいったら苦労しない。個々で反省しなければいけない点はあると思いますが、2連勝ときっちり結果を残している。  3戦目の先発は田中(将大)投手です。メジャーから日本球界に8年ぶりに復帰した今シーズンは、打線の援護に恵まれず4勝と白星は伸びていませんが、投球内容は悪くありません。経験豊富な投手ですし、大一番に強い。国際試合で投げることで、本来持っている力が引き出されると思います。どんな投球を見せてくれるか楽しみですね。 (企画構成/YOJI-GEN)

野村弘樹(のむら・ひろき)

1969年6月30日生まれ、広島県広島市出身の52歳。PL学園高の3年春夏に甲子園に出場し、背番号1の主戦投手として春夏連覇に大きく貢献。打撃センスも高く、高校通算53本塁打を放った。87年ドラフト3位で大洋(現DeNA)に入団。プロ3年目の90年に先発ローテーションに定着して11勝、翌91年は15勝を挙げて左のエースに。93年には17勝をマークして最多勝を獲得。98年にはチームトップの13勝でチームを38年ぶりのリーグ優勝、日本一に導いた。通算301試合登板、101勝88敗、防御率4.01。02年限りで現役引退し、横浜でコーチを務めた。現在は野球評論家として活動している。

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