五輪100メートル代表争いは激しさを増す
多田は好走、明暗分かれたテスト大会

五輪テスト大会で、ガトリン(中央)と日本の選手たちが激しい戦いを見せた 五輪テスト大会で、ガトリン(中央)と日本の選手たちが激しい戦いを見せた【写真は共同】

 群雄割拠の男子短距離で、東京五輪の出場権争いが、ますます激しさを増してきそうだ。  陸上の東京五輪テスト大会「READY STEADY TOKYO−陸上競技」が9日、東京・国立競技場で行われた。男子100メートルには前日本記録保持者の桐生祥秀(日本生命)、2016年リオデジャネイロ五輪の4×100メートルリレー銀メダルメンバーのケンブリッジ飛鳥(ナイキ)、19年の世界陸上4×100メートルリレーの銅メダリストである多田修平(住友電工)、自己ベスト9秒98の小池祐貴(住友電工)ら、豪華メンバーが参加。決勝は2004年のアテネ五輪、17年の世界選手権(ロンドン)などで金メダルのジャスティン・ガトリン(アメリカ)が、10秒24(無風)で優勝した。桐生は予選でフライングを喫し失格、ケンブリッジは予選を通過したが、決勝は左ハムストリングの違和感で欠場した。

多田のスタートには五輪王者もお墨付き

僅差の2位に入った多田は、ガトリンと固く握手を交わした 僅差の2位に入った多田は、ガトリンと固く握手を交わした【写真は共同】

 開幕まで74日(5月10日時点)と迫った東京五輪へ向けて、貴重なテストイベントとして実施された今大会。昨年は新型コロナウイルスまん延の影響で日本勢は国外の大会に参加できず、海外の強豪と実戦でぶつかる機会が1度もなかった。今回、ガトリンは本番での感染対策がどのくらい徹底されているかを確認するために、来日を決意。世界トップクラスの実力者とマッチアップする機会が実現した中で、それを最大限に生かしたのは多田だった。  予選1組・決勝と2本続けてガトリンと対峙(たいじ)。いずれも得意とするスタートから元世界王者を引き離しにかかり、自分のレース展開に持ち込んだ。予選では先着したものの、決勝では「何着か気になって横を向いてしまった」こともあり、終盤でガトリンに逆転を許して0.02秒差の2位でフィニッシュ。それでも、百戦錬磨の39歳・ガトリンを相手にいずれも僅差の勝負を繰り広げ、「(今期)1、2戦目は苦しい感じで終わってしまったけど、3戦目でしっかり調子を上げることができて、自信につながりました」と、確かな手ごたえをつかんだ。  2017年には追い風4.5メートルの参考記録ながら9秒94をマークし、世界選手権でもリレーメンバーとして2度のメダルを獲得するなど、その実力は折り紙付き。ただ近年は最大の長所であるスタートの切れ味がやや鈍り、納得のいかないレースが続いていたという。そんな中、17年のセイコーゴールデングランプリで初めて同走し、絶賛を受けたガトリンとのレースで、再び自らの持ち味を証明。ガトリンは「もともと彼はグッドスターターで、ここ数年はフィニッシュも非常に仕上がってきた。レースの戦略にもとても長けている。本番では日本の選手たちにはもちろん、世界のランナーの脅威になるだろう」と、改めてその実力を高く評価した。  多田自身は「スタートはまだ本調子まではいっていない。もっと中盤への流れをスムーズにしていきたい」と、さらに自分の長所に磨きをかけると宣言。スタートのスペシャリストが納得のいく飛び出しを取り戻すことができれば、金メダルを狙う4×100メートルリレーにおいても、大きな戦力となることは間違いない。

失格の桐生は悔しさあらわ

まさかのフライングを喫した桐生は「やってはいけないことをしてしまった」とうなだれた まさかのフライングを喫した桐生は「やってはいけないことをしてしまった」とうなだれた【写真は共同】

 一方、20年日本選手権王者の桐生はチャンスを生かし切れなかった。予選2組で登場し、「調子が良かったのでタイムを狙いにいっていた」と気合十分。だが、結果的にその意気込みが今回は裏目に出てしまった。リアクションタイムは-0.068と号砲が鳴る前に体が飛び出し、17年ダイヤモンド上海以来となる2度目のフライング。ガトリンと対決する前に姿を消し、「本当は叫びたいくらい悔しい。1番の原因は気持ちの部分。やってはいけないことをしてしまった」と声を絞り出した。  2週間前に行われた織田記念では、肺気胸からの復活をかける山縣亮太(セイコー)が桐生、多田らを抑えて優勝し、ここに来て調子を取り戻しつつある。また、ケンブリッジはこの日の決勝こそ欠場したものの、予選では10秒28(向かい風0.4メートル)と2組1位で貫録の走りを披露した。昨年は10秒03(追い風1.0メートル)をマークして自己ベストを更新するなど、こちらも復調傾向。以前も何度か痛めているハムストリングの状態は気がかりだが、体の状態さえ整えば、ハイパフォーマンスが期待できる。  現時点で参加標準記録をクリアしているのは日本記録保持者のサニブラウン・アブデルハキーム(タンブルウィードTC)、桐生、小池の3人。ただ、ここに多田や山縣、ケンブリッジも加わり、3枚の切符を争っていく。五輪代表選考会となる日本選手権は、6月24日に大阪で開幕予定。決戦の火ぶたが落とされるまで、勝負の行方は誰にも分からない。 (取材・文:守田力/スポーツナビ)

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