大エースの復活や新星の台頭……
競泳日本選手権で見えた「+1」の光明

一時の不調を脱し、個人メドレー2冠・東京五輪の派遣標準記録を突破した萩野。1年の延期が功を奏し王者が復活を果たした 一時の不調を脱し、個人メドレー2冠・東京五輪の派遣標準記録を突破した萩野。1年の延期が功を奏し王者が復活を果たした【写真は共同】

 東京五輪の代表決定戦に向け、競泳陣が前哨戦で火花を散らした。第96回日本選手権水泳競技大会が12月3日から6日にかけて、五輪会場である東京アクアティクスセンターで行われ、来年4月開催の次回大会で東京五輪の出場権獲得を目指す主力選手がしのぎを削った。  元々、この大会は東京五輪の代表選考会として4月に行われる予定だったが、新型コロナウイルスのまん延により感染防止のため延期。その後、東京五輪が1年延期になったため、代表選考会は2021年4月の第97回日本選手権で行い、今年度の第96回日本選手権は、本来ならオフシーズンである12月にスライドして開催することとなった。つまり、今大会は、日本のトップ選手たちが、オフシーズンの強化期間において、来年4月の五輪代表選考会に向けた調整の場として臨むレースという位置付けだった。  各選手ともコンディションが本調子ではない中、大エースの復活や新星の台頭などさまざまな要素が見える大会となった。

戻ってきた“強い萩野”

 日本にとって最大の収穫は、男子の個人メドレーで、2016年リオデジャネイロ五輪金メダリストの萩野公介(ブリヂストン)が復活を感じさせる2種目(200、400メートル)連覇を達成したことだ。昨年は記録が低迷。3月から休養し、日本選手権を欠場した。今夏に予定されていた東京五輪まで1年強しかない時期で完全復活が可能か心配されたが、本番の1年延期も追い風となり、調子を取り戻してきた。  400メートルは4分13秒32、200メートルは1分57秒67と、2つのレースで日本水泳連盟が定める東京五輪の派遣標準記録(19年世界選手権の決勝進出相当のタイム)を突破。「まだこのタイムでは世界と戦えないけど、この時期のこのタイムは自信になる」と手ごたえをつかんだ。  リオで金を取った400メートル個人メドレーで優勝した後は「気持ちで勝つんだという気持ちで泳いだ。水と仲良く泳げている」と笑顔を見せた。さらに、2日後に行われた200メートルも制すると「子どもに戻ったなと思いました。勝負を気にして硬くなったり、小さくなったりするのではなく、まずは全力を出すことから話が始まる。純粋に水泳を楽しむという意味」とプレッシャーから自身を解放できている実感を語り、ポジティブに目標へ向かっている印象を漂わせた。強い萩野が戻ってきた。

新星の台頭でレベルが上がった男子平泳ぎ

佐藤翔馬と渡辺一平(右)。男子平泳ぎは世界トップクラスで渡り合える2人が切磋琢磨する(代表撮影) 佐藤翔馬と渡辺一平(右)。男子平泳ぎは世界トップクラスで渡り合える2人が切磋琢磨する(代表撮影)【写真は共同】

 東京五輪が延期になったことで、新たな力も台頭している。  男子平泳ぎは、1月から好記録を出し続けていた佐藤翔馬(東京SC/慶應義塾大)が100メートルで優勝。10月に世界歴代5位の好記録を出した200メートルでもハイペースでけん引して存在感を示したが、前世界記録保持者の渡辺一平(トヨタ自動車)が後半に強さを見せつけて優勝。佐藤は2位だった。  2分07秒08の好タイムを出した渡辺は「昨年の12月なら2分7秒0というタイムは、絶対に出せていない。この1年間、良いトレーニングができていると自信を持って言える。4月、そして本番(の五輪)まで、誰よりも努力して世界一を目指したい」と力強く宣言した。渡辺はウエートトレーニングによる下半身強化に取り組んでいる時期で、疲労が残りやすい状態。佐藤もISL(19年に創設された国際プロリーグのインターナショナル・スイミング・リーグ)による疲労が残っている状況で「(200メートルでは)かなりの大差で負けてしまったので、次は、しっかり勝ちたい。前半に突き放す気持ちでいきたいです」と雪辱を誓った。  世界トップクラスで渡り合える2人がさらに調子を上げて臨む来年のレースが楽しみになる内容だった。

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