東京オリンピック・パラリンピック、聖火リレー延期後の日程を更新しました(9/30)。聖火リレーの市区町村ごとの日程やルートについては、正式発表後に更新します。

多田、小池らに勝った高校生スプリンター
“想定以上に伸びた”100mで決勝を狙う

メダリストとのレースも「集中して良い走りができた」

高校2年生ながら日本陸上競技選手権の切符を勝ち取った柳田大輝(中央)。大会にかける思いとは 高校2年生ながら日本陸上競技選手権の切符を勝ち取った柳田大輝(中央)。大会にかける思いとは【有限会社映像工房/本多義清】

 10月1日に開幕する日本陸上競技選手権(新潟・デンカビッグスワンスタジアム)。注目の男子100メートルに、3人の高校生がエントリーした。そのうちの1人が、2年生の柳田大輝(東農大二高・群馬)だ。  来夏の東京五輪会場となる国立競技場で開催された、8月23日のセイコーゴールデングランプリには、公募で選ばれた高校生に設けられた「ドリームレーン」枠で出場した。桐生祥秀(日本生命)、ケンブリッジ飛鳥(ナイキ)ら、2016年リオ五輪400メートルリレー銀メダリストと同組に入った予選を、自己新の10秒27(追い風0.7メートル)で4着通過。およそ1時間20分後に行われた決勝では、10秒36(向かい風0.2メートル)で5位に食い込み、多田修平、小池祐貴(ともに住友電工)らに先着して見せ場をつくった。 「高校生の大会とはまったく雰囲気が違いましたが、気にしすぎることなく集中して、良い走りができました」    ウォーミングアップ場や招集所、レース直前など、それぞれの場面で独特の緊張感があったはずだが、柳田は落ち着いていた。予選の10秒27は高校歴代6位タイ、2年生では洛南高(京都)時代の桐生に次ぐ歴代2位の好記録。また、東農大二高の先輩である宮田英明が、1990年にマークした群馬県高校記録と同タイムだった。柳田はこの数字を頭に入れていたといい、「並んだな、と思いました。せっかくなら更新したかったですね」と笑った。決勝も立派な記録だが、予選を下回ったことに納得しておらず、「もう少しリカバリーの取り方を考えていれば、さらに良い動きができたのではないか」と冷静に分析する。

8月23日に行われたセイコーゴールデングランプリでは、男子100メートル決勝で5位に入賞した柳田(右から2番目) 8月23日に行われたセイコーゴールデングランプリでは、男子100メートル決勝で5位に入賞した柳田(右から2番目)【Getty Images】

 9月初旬には、群馬県高校対抗陸上競技大会で10秒32(追い風1.3メートル)と好走。その後も順調に練習を消化できている。初出場となる日本選手権に向け、「決勝に残って、どんな走りをするかを一番に考えています」と話し、9秒台や10秒0台を持つトップスプリンターとの勝負を望む。決勝進出には自己記録を更新する走りが求められそうだが、「僕の強みは大きな大会で力を出せること」と、持ち前の勝負度胸を大舞台で発揮するつもりだ。

先輩の高校新記録から刺激

 冬期には腸腰筋や大腰筋といった体幹の筋肉を強化。さらにはサーキットトレーニングで全身を鍛え、ベースを上げた。久しぶりに会った人から「筋肉が付いたね」と声を掛けられるほど、目に見えて体つきが変化した。1年生のときは練習についていくのが精いっぱいだったのが、「きついなかでも、自分なりに考えながら練習できるようになりました」と成長を感じ取っている。これまでは100メートルのレースで後半に失速することがあったが、今季は中盤からの加速に目を見張るものがある。  この春は新型コロナウイルスの感染拡大により、5月末まで学校が休校に。寮に入っている柳田は実家に帰省し、近くの広場や公園で、陸上選手である弟2人とできることに取り組んだ。4月下旬には、8月に静岡で開催が予定されていた全国高校総体(インターハイ )の中止が決定。ある程度は覚悟していたものの、いざ中止が決まると動揺したが、「自分にはあと1年ある」と気持ちを切り換えたという。    7月に競技会が始まると、初戦から自己記録を塗り替えて上昇気流に乗った。そんななか、7月18日に北海道で行われたホクレンディスタンスチャレンジ千歳大会 で、東農大二高3年の石田洸介が5000メートルで13分36秒89の高校記録を樹立(9月27日に行われた東海大記録会で13分34秒74とさらに記録を更新)。「石田さんとは同じ寮で暮らしていて、普段から話す機会も多いので、自分もやってやろうという思いが芽生えました」と、先輩の活躍に大いに刺激を受けた。

100メートル、走り幅跳びの2種目で世界へ

着実に実績を積むこの若き逸材は、今後どんな成長を見せてくれるのか 着実に実績を積むこの若き逸材は、今後どんな成長を見せてくれるのか【写真:本人提供】

 100メートルで注目を集めている柳田だが、走り幅跳びの実力者でもある。館林一中(群馬)3年時の全日本中学選手権は100メートルで2位、走り幅跳びでは当時中学歴代4位タイの7メートル22で優勝を果たした。高校入学後は、東農大二高陸上競技部で力をつけ、1年目からインターハイの走り幅跳びで4位に入賞した。 「冬季も2種目を同じくらいの比重で練習してきたのですが、シーズンインすると100メートルの方が伸びました。日本選手権は走り幅跳びでの出場を目指していたのに、100メートルで参加標準記録を突破するとは……」  100メートルは、自身が想定していた以上の伸びを見せている。最近ではどちらがメイン種目か問われることも増えたそうだが、「中学生の頃からずっと2種目やってきたので、これからもそれは崩したくない」と、両種目で高みを目指す決意は固い。  走り幅跳びは7月の群馬県陸上選手権で7メートル51(追い風1.7メートル)を跳び、今季の高校ランキングで6位につけている。昨夏に沖縄で行われた全国高校総体では、優勝した藤原孝輝(洛南高・当時2年)が高校生で史上初めて8メートルを超え、20歳未満の選手としては2019年の世界1位となる8メートル12をマークした。同じピットで戦っていた柳田は、「とにかくすごい、という感想しか持てず、あのレベルを目指そうという気持ちはありませんでした」と当時を振り返る。ただ、走力に自信がついた今は、狙える域だと思い始めている。  今季は藤原をはじめ強敵が多く、同じ2年生にも7メートル80台を跳んだ選手が2人いる活況のなか、柳田は「置いていかれないように」と虎視眈々(たんたん)、大記録を見据えている。100メートル10秒2台まで上がったスピードに、踏み切り技術が完全に追いついていないのが現状だが、スピードと技術がかみ合えば8メートル超えも現実味を帯びてくる。 「どんどん記録を伸ばして、いずれは“日の丸をつけて世界へ”と言えるような選手になりたい」  気鋭の高校生アスリートは、来る日本選手権の100メートルで世界への第一歩を踏み出し、2種目での国際舞台出場を目指して歩みを進めていく。

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