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日本女子中距離界の歴史を変える選手へ
卜部蘭、横田コーチとともに目指す五輪

日本記録は狙える状態にあった

昨年の日本選手権で800メートル、1500メートルの二冠を達成した卜部蘭。日本女子中距離界をけん引する選手として、彼女が切りひらく新たな道とは 昨年の日本選手権で800メートル、1500メートルの二冠を達成した卜部蘭。日本女子中距離界をけん引する選手として、彼女が切りひらく新たな道とは【写真:本人提供】

 8月23日に行われた陸上のセイコーゴールデングランプリ、女子1500メートル。卜部蘭(積水化学)は、日本記録(4分7秒86)を上回るペースで走る田中希実(豊田自動織機TC)にしっかりつく走りをしたが、ラスト400メートルからはジリジリ離され2位でフィニッシュ。自己ベストを2秒77更新する4分11秒75と好走するも、4分5秒27の日本記録でゴールした田中には大きく突き放された。 「トレーニングの感覚もよく、日本記録を狙える状態にあると思っていたので、目の前で記録を出された悔しさは大きかったです。ただ、1300メートルまでは日本記録と同じペースでいけたので、やはり課題は最後の1周というのが明確になりました」  師事する横田真人コーチと話し合っていたのは、来夏に開催される東京五輪へ向けてまずは日本記録更新、そしてその先にある東京五輪の参加標準記録4分4秒20をターゲットにするということだ。 「世界で戦うためには、勝負できる持ちタイムを持って挑むことは重要。ゴールデングランプリでは田中さんが日本記録を更新しましたが、一緒に走った彼女の存在があったからこそ、最後の1周次第で見えてくる世界も変わってくると感じました。そこまでは1周66秒で回れるということも分かったので、いかに余力を持って走り、最後のペース変動があったときに自分でどれだけ出し切れるかというのを追求していきたいと思います」

中距離にこだわり続ける理由

猛暑の中行われたセイコーゴールデングランプリでは、自己ベストを更新するも、狙っていた日本記録には届かなかった 猛暑の中行われたセイコーゴールデングランプリでは、自己ベストを更新するも、狙っていた日本記録には届かなかった【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 両親がともに陸上の中・長距離をやっていた卜部は、父親の昌次さんが高校で陸上部の顧問をしていたこともあり、小さなころから陸上に親しんでいた。 「小さいときから大会を見に行って、父が指導する中・長距離の選手を応援していました。その中で一番かっこよく見えたのが中距離の選手だったし、両親からはヨーロッパでは中距離が一番盛り上がる種目だとも聞かされていたので、陸上を始めてからはずっと中距離にこだわりを持ってやっています」  中学3年の全国中学陸上では800メートルで2位。その後に全国中学駅伝の3000メートルで争う1区で区間賞を獲得して注目されたが、“中距離愛”は消えなかった。大学卒業後は男子800メートルの前日本記録保持者である横田コーチに師事して、女子長距離のトップランナーである新谷仁美(積水化学)などと練習。昨年の日本選手権では800メートルで日本歴代8位の2分2秒74で優勝し、1500メートルも優勝して2冠を獲得するまでに成長した。  彼女が力を入れているのは、横田コーチの下で取り組む1500メートルだ。だが日本の女子中距離は、五輪では1928年アムステルダム大会の人見絹枝が800メートルで銀メダル獲得という歴史はあるが、それ以降は800メートルで64年東京大会に木崎正子、2004年に400メートルから移行した杉森美保が出場した以外、世界に太刀打ちできない種目になっている。世界選手権も開催国枠出場の07年大阪大会を除けば、96年アトランタ五輪から5000メートルや1万メートルで3大会連続で五輪に出場した弘山晴美が93年シュトゥットガルト大会に1500メートルで出場。800メートルでは、杉森が05年に2分00秒45の日本新記録で参加標準記録Bを突破してヘルシンキ大会に出場しているだけだ。  女子中距離低迷の原因を、横田コーチはこう説明する。 「800メートルでインターハイ(全国高校総体)に勝った選手も、実業団に行くと長距離をやることが多く、『中距離をやらせる』と言っても、練習内容は僕らから見ると長距離の練習というチームが多い。駅伝が盛んな中で中距離を選択するのは難しいのかなと思いますが、1500メートルの場合は女子駅伝だと短距離区間は走れるので、もう少しうまく中距離を活用してもらえたらというのはあります。  その一方、800メートルにはいい選手もいると思いますが、800メートルしかやらない選手がほとんど。世界的に見れば400メートルと800メートルをやる選手より、男女ともに800メートルと1500メートルをやる選手の方が圧倒的に多い。スピードを動きの中できちんと残しながら、有酸素的な部分をどう開発していくかというのは、日本の中距離ができていない部分で、完全に800メートルと1500メートルが分断されている。長距離の選手は短距離の理解が少ないし、400メートル寄りの選手もスピードで押していけると考えて有酸素能力の開発という面ではノウハウもないし、重要性も感じていないと、個人的には考えています」

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