東京オリンピック・パラリンピック延期後の日程を更新しました。聖火リレーの日程は公式情報が発表され次第更新します。

コロナが変えたアスリート活動
Uberで配達、フェンシング三宅諒の今

コロナ禍で厳しい環境に置かれる中、「Uber Eats」の配達員になり話題を集めてたフェンシングの三宅に話を聞いた コロナ禍で厳しい環境に置かれる中、「Uber Eats」の配達員になり話題を集めてたフェンシングの三宅に話を聞いた【撮影:杉野正和】

 新型コロナウイルスの影響で延期が決定された東京五輪。先行きが見えない状況下、ロンドン五輪の銀メダリストでありながら、スポンサーの支援をいったん断り「Uber Eats」の配達員になったアスリートがいる。フェンシング・フルーレの三宅諒だ。大好きなフェンシングを続けるため、「できることはすべてやりきりたい」と、SNSやYouTubeで自ら情報を発信。ファンから金銭的支援を募るスポーツギフティングサービス「Unlim」にも加入した。日本の現役フェンシング選手で唯一の五輪メダル保持者でありながら、コロナ禍で厳しい環境に置かれる三宅が今何を思うのか。現状に加えて、今後の目標や夢についても聞いた。

「何をしたいのか」を声に出すことが重要

――五輪まで1年を切った現在、実戦感覚を取り戻す練習はできているのでしょうか?  自粛直後は練習場が閉鎖されていましたが、現在は通常時の80%くらいまで練習環境が戻り、実戦練習もできています。7月に沼津で行われた日本代表合宿では、3種目(フルーレ・エペ・サーブル)ごとにローテーションで合宿を行いました。合宿以降は対戦相手が自由に選べるようになってきていますね。いつまでも壊滅的であるほどスポーツは弱くないので、みんな状況に対応してきていると思います。今、問題なのはモチベーションの継続です。9月の全日本選手権に向けて頑張っていますが、実はそのあとの保証がまだ何もありません。 ――資金面では、どのような課題がありますか?  僕は企業に所属しているわけではないので、お金がないと動けなくなってしまいます。だから、資金面でのプレッシャーや課題は常に感じていますよ。フェンシングは現状、自己負担金が発生します。男子フルーレの場合、五輪を目指そうとすると、競技費用として補助金を含めて年間300万円ほどなければ不安です。フェンシングはヨーロッパで合宿をしたり遠征をしたりすることが多いので、一番多くかかるのは渡航費ですね。 ――コロナ禍の中、企業からの協賛を断るのはとても勇気がいると思います。どういった心境から決断されたのでしょうか?  スポンサーとアスリートとの関わりは、従来、資金援助を受けて試合で結果を返すという形が一般的でした。しかし、五輪の延期が決まって試合もなくなり、物理的に結果を出せなくなってしまったんです。練習場が使えず、試合のめども立っていない。そんな状況で「試合がいつあるかわかりません。五輪も延期され練習もできていないのですが、支援してください」という仕組みに違和感を覚えました。自分がフェンシングをやっていることに対して、どれだけの社会的価値があるのかは実は数値化できておらず、あくまで好きなことをやっていて……。それでも応援してくれる人がいる。その仕組みを当然だとして援助を受けている限りは、フェンシングがアマチュアスポーツの域を出ないと感じたんです。そのような思いで、いったん支援を保留させていただきました。

現在は、通常時の80%くらいの練習はできているという 現在は、通常時の80%くらいの練習はできているという【撮影:杉野正和】

――コロナの影響でアスリートのあり方が変わってきたと感じますか?  そうですね。このコロナによってスポーツを取り巻く環境が大きく変わりつつあるのを実感します。先ほど問題だとお伝えしたモチベーションを維持していくためにも、これからはアスリート自身が「何をしたいのか」を声に出すことが重要ではないでしょうか。Uber Eatsでしたかったのは、フェンシングが好きで五輪に出たいという気持ちがあるけど結果が出せない状況下で「それでも僕はやりたい」と、アクションを起こすこと。それをきっかけに応援してくれる人がいたら、今までのアスリート活動の流れとは違うのではないかと考えました。「頑張って」という気持ちで、一緒に戦ってくれているというか。その形であれば、コロナ状況下でも違和感なく資金援助を受けられると思ったんです。 ――三宅選手はファンから金銭的支援を受けられるギフティングサービスを利用されていますが、こういったサービスを通じてアスリートの環境は変わっていくと思いますか?  変わっていくと思いますね。支援人数が増えると、今までわからなかったスポーツを応援する人を可視化でき、頑張るモチベーションにつながりました。ギフティングサービスの「Unlim」を利用してうれしかったのは「インスパイアを受けました。ありがとうございます」と感謝をされたことです。そして、スポーツは安全と生活の中で成り立っているのに、こんな状況でも言語ではない形で活動を支えてくれるので、頑張って良いんだと励みになりました。Uber Eatsでの活動を通じて、海外から「どうやって応援したら良いの?」という質問があり、それに対応できたのもギフティングサービスがあったからですね。

「子どもたちがスポーツを諦めない環境作りをしたい」と目標を語る三宅 「子どもたちがスポーツを諦めない環境作りをしたい」と目標を語る三宅【撮影:杉野正和】

――今の目標と夢について聞かせてください。 「東京五輪に出たい」という気持ちを応援して一緒に戦ってくれている人がいるので、五輪に出て、金メダルを取るのが最大の喜びです。今は東京五輪を目指し、フェンシングを全力でやるつもりで、その後のことはまだそれほど考えられてはいないのですが、やりたいことはあります。コロナ禍で苦労をしているアスリートがたくさんいると思います。そして、その状況を見ている中学生・高校生がいる。そうなるとスポーツを諦めてしまったり、スポーツをすることが損じゃないかと思ってしまったりするかもしれません。その状況はすごく嫌で、僕が何かしらアクションを起こし、子どもたちがスポーツを諦めない環境作りをしていきたいです。

PROFILE

【撮影:杉野正和】

1990年12月24日生まれ。小学1年の時にフェンシングを始め、小学校6年で全国大会優勝。2007年、慶應義塾高等学校在学中に世界ジュニア・カデ選手権で優勝し、日本人初の世界選手優勝を果たした。2012年には、ロンドン五輪男子フルーレ団体で銀メダルを獲得。2013年には、全日本選手権、アジア選手権にて個人銀メダルを獲得。2014年アジア大会の団体戦では五連覇を狙う中国を下して金メダルを獲得した。

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