
例年のように2月20日にオーストラリア合宿に出発した、前100メートル日本記録保持者の桐生祥秀。3月20日にクイーンズランド州で行われる大会に参加する予定で、「今年は行けるという手応えを見つけてシーズンインしたい」と東京五輪シーズンへ向けての抱負を語っていた。 だが新型コロナウイルスの影響は世界に広がり、3月15日には出場予定の大会の延期が発表された。その後帰国した桐生は2週間の自宅待機措置のために外出できない状態になり、東京五輪延期の発表は待機中の自宅で知ったという。 「東洋大のグラウンドも6月に入ってからは、公共交通機関を使用しないものだけ使用できるようになりましたが、帰国してからは2週間の外出禁止もあって2カ月間は家の近くで練習するしかない状態でした。近所ではけっこう長い坂道や芝生もあるので、すれ違う人がほとんどいない時間帯にと考え、朝は5時頃、夜なら22時過ぎにいろいろ工夫しながら坂道などを走っていました。マスクを付けたままで走ると息苦しいですが、それをプラスに考えてしんどくてもずっと外さないで走ったり。外に出ている時間は1時間以内にしようと考えていたので、自宅の中で準備体操や補強などをやって動ける状態になってから外に行くようにしていました」