東京オリンピック・パラリンピック延期後の日程を更新しました。聖火リレーの日程は公式情報が発表され次第更新します。

連載:アスリートに聞いた“オリパラ観戦力”の高め方

辻内彩野が見つめるロービジョンの未来像
新記録を更新し続けるパラ水泳界の新星

日本記録やアジア記録を次々に塗り替え、パラ水泳界の期待の星と評される辻内彩野に、競技の魅力や観戦ポイントを聞いた 日本記録やアジア記録を次々に塗り替え、パラ水泳界の期待の星と評される辻内彩野に、競技の魅力や観戦ポイントを聞いた【写真:C-NAPS編集部】

 自由形を筆頭に9種目で日本記録、2種目でアジア記録を更新(2020年4月現在)。輝かしい実績を引っさげて、パラ水泳界のスターダムを駆け上がった23歳がいる。その名は辻内彩野(三菱商事)。初出場した18年のアジアパラ競技大会、そして19年の世界選手権でもメダルを獲得した新星だ。この注目の逸材は、21年に延期が決まった東京パラリンピックで表彰台が有力視される選手の一人と言っても差し支えはないだろう。  中学・高校6年間を通して水泳に打ち込んでいた辻内だが、高校3年の時に次第に視力が弱くなるという異変が起きる。診断結果は進行性の「黄斑ジストロフィー」。遺伝学的な原因によって網膜の中でも特に視力に重要な役割を果たす「黄斑」に障がいが生じ、視力低下や視野異常を引き起こす病気だった。弱視(ロービジョン)となった後は一度水泳を離れたものの、高校の同級生でリオパラリンピックにも出場した森下友紀(パナソニック)の誘いを受けて競技に復帰。その後は瞬く間に、パラ水泳界のニューヒロインにまで上り詰めた。  パラリンピック本番会場となる東京アクアティクスセンターは、「自宅から自転車で行ける距離」。まさにホームゲームでの夢舞台出場を目指す彼女は、延期が決定した東京2020に対して何を思うのか。また、弱視として社会に発信したいメッセージや競技観戦のポイント、楽しみ方とは。

身一つで競う「十人十色の泳ぎ」がパラ水泳の魅力

さまざまな障がいを持つ選手がまさに身一つで泳ぐのがパラ水泳の最大の特徴だ。辻内は9種目の日本記録と2種目のアジア記録を保有する さまざまな障がいを持つ選手がまさに身一つで泳ぐのがパラ水泳の最大の特徴だ。辻内は9種目の日本記録と2種目のアジア記録を保有する【Getty Images】

 パラ水泳は、健常の水泳と同じくヨーイドンでスタートして一番速くゴールした選手が勝ちというシンプルな競技。使われる会場やスタート台も健常の水泳と一緒なんです。唯一違うのは障がいの有無。パラリンピックは障がいの度合いによって14のクラス分けがなされているんです。1から10までが身体障がいクラス、11から13までが視覚障がいクラス、14が知的障がいクラスになります。数字が少なくなるほど障がいが重くなる仕組みです。  身体障がいの中にも欠損やまひなど、さまざまな障がいがありますが、「障がいの種類」によってクラス分けがなされているわけではありません。同じクラスの中でも手の欠損や足の欠損の選手、車いすや杖を使用している選手が混在している点も大きな特徴です。パラ水泳が他のパラ競技と異なるのは、「生身で戦う」こと。義手や義足を外して、車いすから降りて競技を行うので、使える機能や手足の長さなどがタイムにダイレクトに影響します。まさに「身一つでの泳ぎ」だと言えますね。  障がいによっては体の機能的にできないこともあるので、泳ぎ方には工夫が施されています。例えば、背泳ぎのスタートでグリップを握れない選手は、スタート台に紐を結びつけて口で加えます。全盲クラスの選手はターンやゴールでの壁までの距離が分からないので、タッパーと呼ばれる人がプールサイドから選手の頭をタッピングして位置を知らせるんです。両腕のない選手は頭でタッチするなど、障がいによって十人十色の泳ぎが見られるのも競技の魅力の一つですね。

飾らずに自然体でインタビューに答える辻内。競技でのたくましさとは打って変わって、終始穏やかな表情を見せる 飾らずに自然体でインタビューに答える辻内。競技でのたくましさとは打って変わって、終始穏やかな表情を見せる【写真:C-NAPS編集部】

 私はクラス13に所属する弱視の障がいなので、常に視界がぼんやりとしています。カメラで写真を撮った際の「ピンボケ」をイメージしてもらえると分かりやすいと思います。インタビューの際に、対面する方の表情もボヤけて分からない感じですね。ただ、中高6年間でみっちり毎日泳いできたこともあり、その感覚が染みついているので、まっすぐ泳ぐことにまったく恐怖は感じません。また、壁までの距離を意識しすぎるとタイムが出ないので、後何メートルかが分からなくても自分の泳ぎに集中するようにしています。  日本代表に選ばれてからは、NTC(ナショナルトレーニングセンター)やJISS(国立スポーツ科学センター)で練習する機会も増えました。そこには五輪日本代表や代表候補の選手がいて、瀬戸大也選手(ANA)や渡部香生子選手(JSS)らの泳ぎを目の当たりにすることもあります。その時は「はえ〜!」と声が出そうになります(笑)。 「私がここで練習していていいのか」とも思いますが、トップ選手の練習からヒントが得られるのでとても貴重な機会でもあるんです。例えば、プールサイドでチューブを使って水をかく動きをするトレーニングをマネしてみたら、実際に泳ぐときの水をつかむ感覚が変わってきたんです。間近にトップレベルの選手がいると、すごく刺激になりますね。

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