
果たしてスペシャリストは必要か――この瞬間も、稲葉篤紀監督はメンバー選考で頭を悩ませているだろう。 侍ジャパンは昨年秋に行われたWBSCプレミア12で09年の第2回WBC以来、じつに10年ぶりとなる野球世界一の戴冠をようやく手にした。 迫りくる東京五輪に向けて景気づけとなったのは間違いない。しかし、稲葉監督はプレミア12とオリンピックはまったく別物だと考えている。 「一番の違いは、オリンピックでは人数が減ること。選手一人一人の役目も変わってきます」 プレミア12のロースター28名に対して、東京五輪は24名だ。この「マイナス4人」の差はかなり大きい。投手ならばワンポイントリリーフは使いづらくなるし、野手も守備固めに人数を割きたくないからスタメン選手にも一定以上の守備力が求められる。 それは走力も然りだ。 だが、プレミア12で輝きを放った代走・周東佑京(ソフトバンク)という武器。 この男がいるか、いないか。この足があるのか、ないのか。侍ジャパンの戦い方が大きく変わってくる。