連載:アスリートに聞いた“オリパラ観戦力”の高め方

文田健一郎が貫く常に自然体のレスリング
豪快な投げ技がグレコローマンの流儀

最大のライバルであり、日本体育大時代の先輩でもある太田(左)に勝利。世界を相手に負けるわけにはいかない 最大のライバルであり、日本体育大時代の先輩でもある太田(左)に勝利。世界を相手に負けるわけにはいかない【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

意識は世界のライバルに、ではなく自分自身のレスリングに

 グレコローマンは、手が長くて足が短い選手が有利だと言われています。日本人が強いのも体型と競技性がマッチしているからかもしれません。手が長い方が相手をしっかりと捕まえられて繰り出す技の幅が広がります。そして、足が短い方が相手の圧に対して重心をしっかり低くして対応できます。海外でも強い選手は足が短い傾向にありますね。ただ、手が短くてもひたすら前に出続ける選手には苦戦することもあります。どんな体型であれ、自分の身体的特徴をうまく生かしたレスリングができるかどうかがポイントになります。  五輪でライバルになりそうな国としては、やはりロシアや北欧の国ですね。どの階級でも強いイメージがあります。60キロ級の決勝にはロシアやウズベキスタンの選手が勝ち上がってくると思いますが、正直言って、誰が相手になるかは特に気にしていません。というのも全日本選抜選手権で忍先輩(太田)に勝っていますし、国内の厳しい代表権争いを制している以上、世界を相手に下手な試合は絶対にできないんですよね。東京五輪出場を決めた世界選手権の相手も全員強敵でしたが、自分はそれ以上のレスリングを見せる必要がありました。  やはり、自分にとっては忍先輩の存在はとても大きく、共に切磋琢磨して実力を伸ばしてきた自負があります。だからこそ、自分が60キロ級の日本代表になったからには、常に世界を相手に圧倒するレスリングを見せつけなければなりません。だからこそ試合前は対戦する相手の分析以上に、自分自身のレスリングを磨くことに集中しています。頭の中で思い描くレスリングをマット上で遂行できれば、おのずと結果も付いてくると信じていますので。

インタビュー中も終始笑顔で応えてくれた文田。自国開催での五輪に対して気負いは一切感じられない インタビュー中も終始笑顔で応えてくれた文田。自国開催での五輪に対して気負いは一切感じられない【写真:C-NAPS編集部】

目指すのは先輩と二人そろっての金メダル獲得

 12年のロンドン五輪は客席から、16年のリオデジャネイロ五輪はアップ場から試合を見ていました。五輪の雰囲気はイメージも含めてだいたいはつかめています。自国開催の五輪は日本人に有利に働くはずなので、僕自身も応援を力に変えて自分自身のレスリングを披露したいですね。もちろん、目指すのは金メダルの獲得。応援してくれている人への一番の恩返しは勝つことだと思っているので。男子レスリングをもっと注目されるメジャー競技にするためにも、必ず金メダルを獲得したいと思っています。  自分が五輪の日本代表になれたのも、忍先輩と一緒にずっとレスリングをやってきたからです。その思いは東京五輪で金メダルを獲得しても変わらないでしょう。忍先輩は全日本選抜選手権後に階級を67キロ級に変更し、現在は東京五輪を目指してトレーニングに励んでいます。少なくとも東京五輪までは別の階級にはなりますが、お互いに求めているものは一緒です。叶うなら二人で「東京五輪での金メダル」を実現させたいと思っています。  東京五輪ではとにかく相手を豪快に投げて頂点に立ちたいです。グレコローマンのルールを詳しく知らなくても、大技を出せれば「文田が勝ったな」と理解してもらえますし。大胆な投げ技を決めることで、競技の魅力も伝わると思っています。僕自身も観戦する人たちも楽しめるように、五輪の舞台では自分自身のレスリングを思う存分披露したいですね。

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C-NAPS編集部

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