連載:アスリートに聞いた“オリパラ観戦力”の高め方

寺内健が身を捧げる「儚く美しい1.6秒」
100%練習通りの演技こそが飛込の真骨頂

夏季では日本人最多タイとなる6度目の五輪出場を決めた寺内健が飛込の魅力を語る 夏季では日本人最多タイとなる6度目の五輪出場を決めた寺内健が飛込の魅力を語る【写真:C-NAPS編集部】

 史上最多となる33競技・339種目が実施される2020年東京五輪。実施される競技の一つ一つに独自のルールや魅力があるが、その中でも刹那的な輝きで観衆を魅了する「最も短い競技」が飛込だ。決められた高さの飛込台からプールに飛び込み、入水までに技を繰り広げる。演技時間はわずか1.6秒ほどしかなく、一瞬の演技でいかに美しさを表現できるかが問われる。そんな繊細な競技において6度目の五輪出場を決めたのが寺内健(ミキハウス)だ。  15歳の時に1996年アトランタ五輪で初出場を果たし、その後のシドニー、アテネ、北京と4大会連続で五輪に出場。28歳で一度は引退したものの30歳で現役復帰し、リオデジャネイロで再び五輪の舞台に立った。そして、来る2020年東京五輪も日本人内定第一号を勝ち取るなど、39歳となった今もその肉体と野心は衰える気配はない。二人一組で演技するシンクロと個人の2種目でメダル獲得を目指す寺内に、五輪観戦のポイント、競技の魅力について聞いた。

板飛込において重要な“しなる板”の使い方

 まず整理しておきたいのは、飛込競技は高さ10メートルの台から飛び込む「高飛込」と高さ3メートルに設置されたジュラルミン製で弾力のある板から飛び込む「板飛込」の2種類があることです。僕は元々、高飛込の選手でしたが、20歳の時に転向して以来、板飛込を専門としています。なので、今回は板飛込を中心に紹介しますね。  転向の理由としては、コンクリート台から飛ぶ高飛込は、選手の身体能力によってパフォーマンスが左右されやすい点が挙げられます。僕は身体能力を武器にしている選手ではありません。他の選手と比べてジャンプ力も瞬発力もないので、“しなる板”を利用できる板飛込の方が合っていると思ったんです。板飛込は、板を上手く使うことで自分のポテンシャル以上の力を発揮できるので、「世界と戦える」という自信を持てました。  板飛込の演技は、「しなり」が大きく影響します。板がしなればしなるほど演技が安定するので、板の使い方にはかなり神経を使っています。具体的には板の先端を「指先でつかむ」イメージ。それができればパフォーマンスが発揮しやすくなります。板の先端を捉えて「ほど良いしなり」を生むのはすごく難しいことなんです。先端を狙いすぎで誤って落下することもありますし、慎重になりすぎて先端を10〜20センチも余すとしなりが使えません。板飛込を観戦する際は、選手が板の先端を指先でつかめているかにも注目してみてください。

寺内が専門としている板飛込は、「しなる板」の使い方がパフォーマンスを発揮するうえでの鍵となる 寺内が専門としている板飛込は、「しなる板」の使い方がパフォーマンスを発揮するうえでの鍵となる【Getty Images】

 飛込では男子は6回、女子は5回の試技による得点を競います。それは高飛込も板飛込も一緒です。試技はすべて違う演技を行う必要があり、その内容は事前申告する必要があります。これは飛込独自のルールで、その日の調子が良いからといって直前で難しい演技に変更することはできないんですよね。飛込では「100%練習通りの演技」をすることが高得点につながります。120%の実力以上の演技をする必要はなく、1.6秒間で練習通りの演技をしっかり表現できればいいんです。  板飛込は技が全部で5種類あります。前方に回転する「前飛込」、後方に回転する「後飛込」、前を向いて後方に回転する「前後飛込」、後ろを向いて前方に回転する「後踏切前飛込」、その4種のいずれかにひねりを加える「ひねり飛込」です。それにプラスして飛び込む際の基本姿勢の型が「伸び型」「えび型」「抱え型」「自由型」と4種類あり、それらの組み合わせで空中の1.6秒の演技構成が決まります。  採点に関しては、7人の審判が10点満点(0.5点刻み)で審査します。採点基準は予定通りの演技かどうか、開始の姿勢、技の美しさ、飛んだ高さなどがありますが、一番分かりやすいのが「入水時の水しぶき」ですね。「ノースプラッシュ」と言って、水に入る際の水しぶきの少なさが一番の採点ポイントになります。「板から飛び込んで何回転もしているのになんで水しぶきがあがらないのだろう?」と疑問に思う人も多いと思いますが、きれいに入水すればするほど水しぶきがあがらないんです。同じノースプラッシュでも、選手によって入水の音もスピードも異なるので、そういった違いに注目すると観戦がより楽しくなると思います。

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