目が離せない!し烈な代表選考レース
東京五輪まで1年 注目競技の選考方法は?

飛び込みの寺内健、坂井丞組が東京五輪“内定1号”に 飛び込みの寺内健、坂井丞組が東京五輪“内定1号”に【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

飛び込みはすでに4名が五輪切符

 2020年東京五輪の開幕まで、7月24日でちょうど1年。地元開催の五輪代表の座を懸けて、選手たちはし烈な争いを繰り広げている。  韓国の光州市で7月12日から行われている水泳の世界選手権では、8位以内に2020年東京五輪出場権が与えられる飛び込みの男子シンクロ板飛び込みで寺内健、坂井丞組(ともにミキハウス)が7位に。さらに12位以内に出場権が与えられる個人では女子高飛び込みで荒井祭里(JSS宝塚)が9位になって権利を獲得。女子3メートル板飛び込みの三上紗也可(米子DC)も5位に入り、3種目4名が代表内定となった。飛び込みで出場権が獲得できる大会は9月のアジアカップ(マレーシア)と来年4月のワールドカップ(東京)の2大会が残されており、そこで制限順位内に入って権利を獲得した者が内定することになっている。

 一方、競泳は世界選手権のリレー種目で12位以内に入った国に東京五輪の出場権が与えられ、日本は女子400メートルリレーで権利を得た。個人種目にその規定はないが、日本水泳連盟の選考規定で優勝者は代表内定と定められている。その内定を誰が得られるか気になるところだが、それ以外の選手は、例年通りであれば4月の日本選手権決勝での一発勝負。決勝で2位以内に入ることと、連盟が設定した各種目の派遣標準記録を突破することを義務付けられている狭き門だ。今回の世界水泳に出場できなかった萩野公介(ブリヂストン)は、その一発勝負に懸けるしかない状況。例年に比べても格違いの緊張感の中で行われるはずだ。

男子マラソン日本記録保持者の大迫傑は2017年の福岡国際でMGC出場権を獲得 男子マラソン日本記録保持者の大迫傑は2017年の福岡国際でMGC出場権を獲得【写真は共同】

マラソンはMGCで2位以内が東京への近道

 男子4×100メートルリレーやマラソン、競歩の活躍が注目される陸上競技。代表選考の第1弾は、9月15日に本番とほぼ同じコースで行われる「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」になる。国際陸連が設定したマラソンの参加標準記録(男子が2時間11分30秒、女子が2時間29分30秒)は今年の1月1日以降の記録が対象になるが、多くの有力選手がそれを突破していない状況だった。だが、日本陸連は7月3日、補欠候補となるMGCの上位5位までの選手は、参加標準を突破したものとみなして参加資格を与えることを国際陸連が認めたと発表。そのためMGCの結果で代表や補欠となる選手は、その後の標準記録突破の義務はなくなった。  MGCで内定が決まるのは上位2名で、3番目の選手はその後に指定された男女各3大会の「MGCファイナルチャレンジレース」で、男子は2時間5分49秒、女子は2時間22分22秒の設定記録を突破した最も記録の良い選手が決定。突破者が出なかった場合はMGCで3位の選手が代表となる。  現状を見た時、ファイナルチャレンジの設定記録は女子はともかく、男子は日本記録(2時間5分50秒)を上回るもので突破の可能性は極めて少ない。それを考えればMGCできっちり3位以内に入っておくのが東京五輪への近道になる。ただし、そのレースは暑さもある上、通常のレースとは違ってペースメーカーがいない。選手たちも全員が一発勝負に懸けてくるだけに、どんなレースになるか想像がつかない部分もある。その点では細かな駆け引きや、意表を突いた仕掛けのし合いなど、一瞬たりとも目を離せないレースになるだろう。まさに勝利のみを争う、マラソン本来の面白さがみられる希有(けう)なレースとも言える。

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折山淑美

1953年1月26日長野県生まれ。神奈川大学工学部卒業後、『週刊プレイボーイ』『月刊プレイボーイ』『Number』『Sportiva』ほかで活躍中の「アマチュアスポーツ」専門ライター。著書『誰よりも遠くへ―原田雅彦と男達の熱き闘い―』(集英社)『高橋尚子 金メダルへの絆』(構成/日本文芸社)『船木和喜をK点まで運んだ3つの風』(学習研究社)『眠らないウサギ―井上康生の柔道一直線!』(創美社)『末続慎吾×高野進--栄光への助走 日本人でも世界と戦える! 』(集英社)『泳げ!北島ッ 金メダルまでの軌跡』(太田出版)ほか多数。

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