連載:スポーツマネジャーという仕事

東京五輪の運営も「チーム力」が鍵!
北九州セブンズで行ったシミュレーション

サクラセブンズと松尾さん(前列左から3番目) サクラセブンズと松尾さん(前列左から3番目)【Photo by Tokyo 2020】

 東京2020オリンピックに向け、「スポーツマネジャー」としてラグビーの運営準備を進める松尾エイミさん。大会組織委員会における競技の運営責任者として、国内および国際競技連盟等との調整役を務めている。  松尾さんは4月に行われた「HSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズ 北九州大会(以下、北九州セブンズ)」において、本大会に向けた“テスト”を行った。その狙いと成果を紹介していただいた。

正式なテストイベントは本番直前

 北九州セブンズは、東京2020大会のテストイベントではありません。正式なテストイベントは「アジア セブンズインビテーショナル2020(仮称)」となり、会場が本大会と同じ東京スタジアムで、運営周りを確認する内容になります。2020年4月ですから、他の競技と比べて非常に遅いタイミングとなります。  ただし今回の北九州セブンズは、ワールドラグビー(ラグビーの国際統括団体)が主催するワールドシリーズ。世界最高峰のチームが参加する大会なので、テストイベントよりもサービスのレベルはむしろ高いものとなり、より本番を想定したシミュレーションができる環境でした。チームの日本滞在期間はオフィシャルスタートが火曜日で、ほとんどのチームはそれより前に来日して合宿します。そこから土日の試合に入る流れです。来年4月のテストイベントは、参加が近隣の国で大会直前の来日となり、土日に試合という日程になります。  選手たちはオリンピックではビレッジ(選手村)に宿泊します。北九州セブンズではワールドラグビーの基準を満たすホテルに宿泊し、ガイドラインに沿ったアスリートミール(食事)が、種類の豊富なフルビュッフェで提供されていました。また、大会中は1日中選手・スタッフがリラックスできるスペースもありました。スタジアムに隣接する展示場をチームスペースとして利用し、そこではチームエリアをはじめ、食事会場、ジム、ストレッチエリアが用意されていました。  世界大会の運営には、チームのほかに海外から多くのスタッフが来日します。今回は本番を想定し、また生のスポーツの現場で知見を広げるという観点より、組織委員会から私を除いて8名ほど、海外から来るスタッフのサポート役、チームリエゾン、ベニューマネジメント担当を派遣しました。表からはなかなか見えないような、スタジアムのセッティングから、コイントスの立ち合い、チームやスタッフのお世話まで、ありとあらゆる部分で運営に携わりました。

想定外の事態が起こった時のシミュレーションも

一緒に大会を運営したことで、五輪本番時に想定外の事態が起こった時のシミュレーションにもなった 一緒に大会を運営したことで、五輪本番時に想定外の事態が起こった時のシミュレーションにもなった【Photo by Tokyo 2020】

 北九州セブンズはワールドラグビー主催で、NF(国内競技連盟/日本ラグビーフットボール協会)がホストの大会なので、突発的な対応は二者を中心に行われます。われわれ組織委員会のスタッフもインカムをつけていたため、何が起きているのかはタイムリーに感じ取ることができました。どのようにトラブルシューティングしているのかも、現場にいながら勉強ができたと思います。  想定外の事態が起こり、試合がディレイ(遅延)することもあります。そのようなことが発生した場合、次の試合時間に影響しないように吸収できるのか、万が一影響が出る場合はいつのタイミングで元のスケジュールに戻すことができるのか見極めることが大切です。組織委員会内でも、本大会を想定して机上で対応と対策案を考えることもありますが、北九州セブンズにて実際のトラブルに対して、どういう対応ができるのかをそれぞれの立場でシミュレーションができました。

トーナメントマネジャーとして、チームマネジャーズミーティングにも参加しました トーナメントマネジャーとして、チームマネジャーズミーティングにも参加しました【(C)World Rugby】

 今回私はトーナメントマネジャーとして本大会に関わりました。本番時の役割と非常に近い業務となります。チームマネジャーらとともにコミュニケーションをとり、大会の事前説明会などにも参加しました。来日したワールドラグビーのスタッフも本大会時に関わるメンバーが大半だと予想されますので、今回一緒に大会を運営できたのは大きな糧になったと思います。やはり、お互いを知ったうえで仕事をするのと本番時に初めて顔を合わせるのでは異なります。ワールドラグビーの公用語は英語なので、コミュニケーションは英語中心となり、IOC(国際オリンピック委員会)のイベントも基本は英語のコミュニケーションです。  私はJRFU(日本ラグビーフットボール協会)から組織委員会に来たので、今回の大会参加はNFに相談し、事前の準備から組織委員会のスタッフも大会運営のスタッフとして受け入れていただけました。イベント経験は「習うより慣れろ」です。オリンピック本番を想定して関わらないと不測の事態に対応できない、ということから(参加受け入れ)依頼をしました。組織委員会のメンバーはそれぞれ大会時の役割を意識した立場で参加し、大会はアスリートや来場されるお客様があって成立するものだと実感ができたと思います。  競技はもちろんですが、スポーツプレゼンテーションなどのファンとのエンゲージメントや文化教育面でもアスリートが主役であるからこそ、そこには感動が生まれます。また、アスリートが命を懸けて戦っている姿を間近で見て、自分たちのミッションをそれぞれ改めて考えたのではないでしょうか。オリンピックの運営を陰で支える者として、アスリートファーストの精神やわれわれ組織委員会のビジョン「スポーツには世界と未来を変える力がある」にある通り、私たちにはスポーツを通して、日本をはじめ、世界中の人々に夢や、希望や感動を伝える大義があるということを再認識できたと思います。

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