伊藤華英が巡った2020事前視察ツアー
新国立以上に盛り上がった場所とは?

 東京2020オリンピックまであと600日を切り、既に観戦チケット申込・購入に必要となるTOKYO 2020 ID登録の受付が始まっている。

 12月16日(日)には東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が、TOKYO 2020 ID登録プロモーションの一環として事前視察ツアーを開催。参加者は工事中の新国立競技場や選手村をはじめ、さまざまな競技の実施予定地をバスで見て回った。

 アテンドを務めたのは北京2008オリンピック、ロンドン2012オリンピックに出場した元競泳選手の伊藤華英さん。現在、組織委員会の職員を務めている伊藤さんに、今回のツアーの様子をつづってもらった。

幅広い年齢層が参加

バスの車内では東京2020大会の会場だけでなく、さまざまな観光名所も巡りました
バスの車内では東京2020大会の会場だけでなく、さまざまな観光名所も巡りました【(C) Tokyo 2020】

 今回のツアーはチケットのTOKYO 2020 ID登録プロモーションというものになります。これを機に登録をしてくれた方、もしくは既に登録済みの方たちに実際の会場を間近で見ていただき、東京2020大会へのワクワク感を高めていただこうと企画したものです。抽選で当選した5組10名の皆さんと一緒に、半日かけて東京都内を巡りました。

 10名のうち、男女比は半々で、若い女性の2人組や男性2人組もいらっしゃいました。下は20代、上は60代と幅広い年齢層の方に参加いただいたのも良かったです。首都圏以外にも名古屋や北海道からもいらした方がいて、皆さん高いモチベーションでツアーに臨まれていたなという印象です。

 JTBさんのファーストクラス仕様のバス『ロイヤルロード・プレミアム』に乗ってベニュー(開催地)を巡ったのですが、参加者にとってはこれもプレミアム感が増したようです。「バスでベニューを周るだけでかなり楽しめたし、会場のことをすごく知ることができた」という感想もいただきました。

選手村で伝え忘れたこと

 ツアーではオリンピックスタジアム(新国立競技場)や、1964年大会のレガシーである日本武道館などを巡っていきました。その中で参加者の方が最も沸いたのは選手村を見たときです。

 選手村はまだ完成していないため、近くにある晴海トリトンスクエアのビルから見学しました。結構もう高いところまで建ってきていますよ。最初、窓のブラインドが閉まっていて、「オープンします!」と開けたら、皆さんも「おおーっ」と期待通りの反応で! 選手村自体が大会独特のもので、一般の方が入れないから盛り上がったのかな、みんな興味あったんだなと感じました。

 あと、ツアー中に一つ伝え忘れたことがありまして。選手村は古代オリンピックの「ジムナシオン」という施設がもとになりました。選手はそこで10カ月ぐらいトレーニングを積んで、本番に臨んだそうです。……ツアーで言えなかった代わりに、この場を借りてお伝えしました、すみません(笑)。

 選手村では私の経験を生かしたクイズも出させていただきました。例えば、「次の中から選手村にないものはどれでしょうか? 1.美容院 2.カラオケ 3.ジム 4.ネイルサロン」という問題。答えは2のカラオケなのですが、ジムがないと思っていた方が結構いまして。「わざわざ選手村で鍛えないだろう、むしろカラオケは当然あるはずだ」という感じでした。意外に感じましたが、面白かったですね。

迫田さんのメダル披露、西崎さんの試技に盛り上がる

シークレットゲストの迫田さん(前列左から2番目)、西崎さん(同3番目)とともに記念撮影。参加者の皆さんにとって、オリンピック・パラリンピックを身近に感じてくれればいいなと思います
シークレットゲストの迫田さん(前列左から2番目)、西崎さん(同3番目)とともに記念撮影。参加者の皆さんにとって、オリンピック・パラリンピックを身近に感じてくれればいいなと思います【(C) Tokyo 2020】

 ツアーの終盤にはシークレットゲストとして、オリンピアンの迫田さおりさん(元バレーボール選手/12年ロンドン大会銅メダリスト)と、パラリンピアンの西崎哲男さん(パラパワーリフティング/16年リオデジャネイロ大会54キロ級出場)にも加わっていただきました。

 迫田さんには銅メダルを持ってきていただいており、参加者の方が生でメダルに触れられる機会をつくってくれました。皆さん「初めて生で見た、触った」と興奮していました。どうやってメダルを保存しているのか、気にしている人もいらっしゃいましたね。ちなみに、東京2020大会のメダルは皆さんから回収した携帯電話や家電製品のリサイクルから作られるので、いらなくなったものは携帯ショップや市町村の役所、行政コーナーへ持参してくださいね。

 西崎さんは現役アスリートですが、参加者からの「競技を辞めたいと思ったことは?」という質問に対する答えが印象深いです。「俺は怪我をして……」と切り出すと、高校時代はレスリング、障がいを負ってからは陸上に取り組む中、トレーニングで行っていたパワーリフティングが楽しくて転向した話をしてくださいました。試技もその場で見せてくれて、120kgのバーベルが持ち上がったときは盛り上がりましたね。

 ちなみに、東京2020大会で何が見たいか聞いたところ、迫田さんは「バスケットボールが見たい」との回答。一方、現役アスリートの西崎さんは「まずは大会に出場することが目標、応援してください!」と訴えかけ、みんな思わず拍手で激励していました。

オリンピックをより身近に

 今回このツアーに参加された皆さんはすごく満足していたので、きっと特別な思いでオリンピックやパラリンピックに関わってくれたり、見に来てくれたりすると思います。ツアー中にも貴重な機会と思ってくれたようで、いろいろなことを質問してくれました。

 例えば、地方の方からしたら「本当にオリンピック・パラリンピックがやってくるの?」と素朴な疑問をぶつけてくれて。これを機に東京2020大会を身近に感じてもらうべく、聞かれたことはすべて説明できたかなと思います。

 東京2020大会を通して、スポーツという概念が広がってくれればいいなと思います。従来の勝利至上主義だけではなく、身近なところで体を動かすことがスポーツなんだよ、という未来にしたいですね。

構成:スポーツナビ