武井壮が実感した「自分自身との戦い」
あらゆる矛盾を超えるパラアーチェリー

パラアーチェリーに挑戦した武井壮さん パラアーチェリーに挑戦した武井壮さん【スポーツナビ】

 直径1メートルに満たない、50メートル先に離れた的に向かって矢を放つパラアーチェリー。ほんのわずかな体のブレによって矢の軌道が大きく変わってしまう、繊細な技術が要求されるスポーツである。障がいの種類や重さによって3つにクラスが分かれており、腕がうまく動かない選手は口で弦を引くなど、それぞれが自分にあった工夫をすることで同じ土俵で戦うことができるのも特徴の一つだ。    スポーツナビは、十種競技の元日本チャンピオンでタレントの武井壮さんがパラアーチェリーに挑戦するNHKの取材現場に同行。競技を体験した武井さんに、その魅力や奥深さを聞いた。

車いすに乗った状態で、50メートル離れた的を狙う 車いすに乗った状態で、50メートル離れた的を狙う【スポーツナビ】

自分の中に現れる「小さな敵」との戦い

 今回パラアーチェリーを体験してみて、健常者のアーチェリーと全く変わらない技術を使う競技だなと思いました。 大山晃司選手みたいに腕が使えなくて口で弓を射るとか、いろいろな技術はあると思うんですが、正確に照準を合わせて、実際の距離と照準の位置、弓の強さなどを天候とアジャストして、10点の的により多くの矢を集めた選手が勝つという本質は全く一緒。パラスポーツの中でも、健常者、障がい者、年齢、男女、そういったものに一番左右されない、幅広いプレーヤーの層を持つ競技だと感じましたね。  今回、初めて50メートル先の的を目がけて矢を射ったんですけど、照準をのぞいた瞬間からたくさんの小さな悪魔みたいなのが心の中に現れるんです。「ここだと思うけど、もう少しこっちかもしれない。でも、今力を入れるとずれちゃいそう!」というように、平静を保とうとしてくる自分を揺り動かしてくる。そいつらをいかになぎ倒して的に向かって矢を放てるか、がポイントです!  高得点の黄色い部分に矢が向かっていく時は、放った瞬間に分かるんですよ。黄色い部分にかぶさるように、スッと矢が吸い込まれるように飛んでいきます。また、少しでもミスした時も「ああ、ズレた!」と、これも一瞬で気づく繊細な競技。自分の体から放たれたものが、すごい速さで50メートル先の的に向かっていく姿は美しいですし、全ての動作がうまく放てるかどうかに関わっていて「動く自分をうまく使わなければいけないけど、動かない部分も必要」という、あらゆる矛盾と戦っている感じがすごいです。

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