東京オリンピック・パラリンピック、聖火リレー延期後の日程を更新しました(9/30)。聖火リレーの市区町村ごとの日程やルートについては、正式発表後に更新します。

連載:スポーツマネジャーという仕事

「ハッピー」な観戦文化を東京五輪でも
ラグビー担当が実現したい“セブンズ流”

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会には、「スポーツマネジャー」と呼ばれる人たちがいる。各競技の運営責任者として国内および国際競技連盟等との調整役を務め、大会を成功に導く重要な責務を担っている。スポーツナビでは、奮闘する彼らの手記を「スポーツマネジャーという仕事」として紹介する。  2016年リオデジャネイロ大会でオリンピック競技に復活したラグビーを担当するのは、松尾エイミさん。彼女には東京大会で実現したいことがあるという。どのような大会を作り上げようとしているのかを、紹介してもらった。

エンターテインメントとしても魅力的なセブンズ

リオ大会で男子が4位と健闘した7人制ラグビー。15人制とは違った“セブンズ流”の観戦文化があるという リオ大会で男子が4位と健闘した7人制ラグビー。15人制とは違った“セブンズ流”の観戦文化があるという【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 私がラグビーの世界に足を踏み入れてから早14年の月日が経ちました。現職に就いたのが16年5月。それまでは日本ラグビーフットボール協会で大会運営に携わっていました。国際部に在籍していた時は、英語資料を取り扱う中で、ラグビー競技に関連するメディカルやドーピング、競技ルールなど多岐にわたる専門知識を身につける機会がありました。オリンピックのスポーツマネジャーは、ラグビー競技を円滑に開催するために全体をマネジメントする仕事です。ラグビー協会でのさまざまな経験が、今の仕事に本当に役立っているなと感じています。  さて、皆さんはオリンピックのラグビー競技が7人制(しちにんせい)であることはご存じでしょうか。1924年のパリ大会までは15人制が実施されていましたが、長いブランクを経て、前回のリオ大会で「セブンズ」と呼ばれる7人制で復活しました。フィールドは15人制と同じものを使いますが、15人制が前後半40分ハーフなのに対して、7人制は7分ハーフで1日に複数試合が行われます。豊富な運動量とスピード感のある試合展開が特徴です。

香港セブンズでは4万人収容のスタジアムが連日満員。仮装したファンが試合を盛り上げた 香港セブンズでは4万人収容のスタジアムが連日満員。仮装したファンが試合を盛り上げた【Photo by Power Sport Images/Getty Images for HSBC】

 しかし、それ以上に15人制と大きく異なるのは、会場の雰囲気です。日本からほど近い香港には、「香港セブンズ」という非常に長い歴史を持つ大会があり、大いに盛り上がります。DJによる音楽が流れる中、観客の多くが仮装をしていて、歌ったり踊ったり、時にはお酒を飲みながらパーティーのような雰囲気の中で観戦を楽しんでいます。これこそ、本当の意味で、“エンターテインメント”としてのスポーツのあり方の一つではないでしょうか。  私は、このような雰囲気を東京大会でも作り上げることができたらと考えています。東京大会をきっかけに、このセブンズのエンターテインメント文化が日本に根付いたらすごいことです。ぜひとも観客の皆さまにはスポーツプレゼンテーション(DJや音楽)やお酒を楽しみながら観戦して欲しいです。「ビールは必ず販売してほしい」と関係各所に説明することは、この文化を広めるうえで大事な仕事の一つですね。

チェンジングルームが足りない!? 運営にも違い

セブンズではたくさんのチームが試合を行うため、仮設のチェンジングルームが設けられる セブンズではたくさんのチームが試合を行うため、仮設のチェンジングルームが設けられる【北九州セブンズより】

 セブンズに特化した運営計画をまとめる作業も私の仕事です。15人制とは違い、7人制では1チームが1日に複数の試合をこなします。1日の出場チーム数も多いので、試合会場の使い方がまったく異なります。チェンジングルーム(ロッカールーム)を例に挙げると、15人制であれば2チーム分あれば大丈夫ですが、セブンズではたくさんのチームがいるので通常の仕様ではチェンジングルームが足りません。全チームが平等に過ごせる場所を確保するためにも、15人制との違いを関係各所に説明して仮設のチェンジングルームを設けたり、実際に現場を視察して「ここに仮設が建てられるね」といった確認をしたりしています。  ラグビーが行われる東京スタジアムは、3競技(他にサッカー、近代五種)の会場になっていますので、こちらの一方的な要望を挙げることはできません。とはいえ、アスリートファーストで考えると、曲げられない信念もあります。一番に意識したのは芝生のコンディションです。サッカーからラグビーへの転換期をどれほど確保すれば芝生が良好なコンディションに回復するのか、芝生の種類や特徴などを調べたりもしました。日本ラグビーフットボール協会にもアドバイスをいただく等、ご協力をいただいています。  私は東京2020オリンピックの全33競技の中でも数少ない、競技経験がないスポーツマネジャーではないかと思います。でも、そんな私がラグビーの世界に身を置き続けることができたのは、“ラグビーファミリー”と呼ばれる関係者やファンの皆さんの情熱とやさしさがあったからです。いろいろなポジションの選手がバンバンぶつかりながら1つのボールをつなげていくのは、自己犠牲の精神がなければできません。だからこそ、やさしくなれるのではないかと思います。そんなラグビーの素晴らしさやノーサイドの精神、セブンズならではの魅力や文化を、東京大会を通じて多くの皆さんに知ってもらえたら幸いです。

プロフィール

   【スポーツナビ】

松尾 エイミ(まつお えいみ) 1981年、神奈川県出身。17歳から22歳まで、ニュージーランド・オークランド、米国・南カリフォルニアで学生時代を過ごす。帰国後、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会に勤務。直近では大会運営部にて来日する各対戦国のチームサービスに関する業務を担当。2016年5月より公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に勤務。

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