“不安”から始まった競技運営の仕事
東京五輪の準備状況は?バレー担当に聞く

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会には、「スポーツマネジャー」と呼ばれる人たちがいる。各競技の運営責任者として国内および国際競技連盟等との調整役を務め、大会を成功に導く重要な責務を担っている。スポーツナビでは、奮闘する彼らの手記を「スポーツマネジャーという仕事」として紹介する。

 バレーボールを担当するのは、藤野隆弘さん。東京大会のスポーツマネジャー39人のうち、最年少の30歳だ。今回は、バレーボールにおけるスポーツマネジャーの仕事内容の一端を紹介してもらう。

スポーツマネジャーの仕事とは?

競技規則などに従い、大会が円滑に運営できるよう準備をするのがスポーツマネジャーの仕事となる
競技規則などに従い、大会が円滑に運営できるよう準備をするのがスポーツマネジャーの仕事となる【坂本清】

 皆さん初めまして。スポーツマネジャーの藤野です。2020年の東京大会に向けて、バレーボールとビーチバレーボールの競技運営を担当しています。10年より日本バレーボール協会(JVA)の国際業務部で、主に国際バレーボール連盟(FIVB)や各国のバレー協会との渉外を行ってきました。16年7月から組織委員会に出向し現職となりました。

 現在はFIVBが決めたレギュレーション(規則)に則って、大会が円滑に運営できるようさまざまな準備を進めています。今後、例えば大会に向けて規定のボールを決められた数だけ用意したり、バレーボールでは試合前や試合のない日に、各チームに練習時間を1日2回、1時間半ずつ提供しなければならないというルールがあるので、そのスケジュールを作ったりもします。選手が使用する更衣室の広さが決まっていたり、選手に軽食を提供しなければならないなど、細かい規定もたくさんあるので、FIVBと調整しながら、それらをしっかりと運営に反映させていくのが仕事になります。

 組織委員会にはチケット販売や大会関係者の宿泊施設の手配、セキュリティーや輸送を担当するチームなど、関連する部署がたくさんあります。JVAではチケットの価格設定やADカードの作成、チームの招へいなど、大会運営に関わる全てのことに携わっていましたが、今の仕事はより競技に特化しています。オリンピックは複合競技大会なので、他の競技のことも考えながらやらないといけない点がJVAの仕事と大きく違う点です。

 バレーボール競技の場合、ビーチバレーボールが行われる潮風公園は、トライアスロンとマラソンスイミングが行われるお台場海浜公園に隣接していますので、観客の導線などの兼ね合いを考えなければなりません。バレーボールが行われる有明アリーナは、19年12月の完成を予定しています。仮設会場で行われるビーチバレーボールもそうなのですが、実際の会場の様子が分からない状況で準備を進めなければならないので、大変ですね。

「自分に務まるのかな」リオ大会視察で感じたこと

最初の大きな仕事はリオ大会の視察。「夏季大会を見る最初で最後の機会」と、たくさんのことを学んだと振り返る
最初の大きな仕事はリオ大会の視察。「夏季大会を見る最初で最後の機会」と、たくさんのことを学んだと振り返る【Getty Images】

 スポーツマネジャーとしての最初の大きな仕事は、リオデジャネイロ大会での1カ月間の視察でした。私自身、この仕事がどんなものなのか、まったくイメージができていなかったのですが、リオのスポーツマネジャーや担当者から「国内外を問わず、オリンピックでは非常にたくさんの関係者と調整をしなければならないので大変だ」と聞きました。その時は、不安になりましたね(笑)。「自分に務まるのかな」と。ただ、閉会式のフラッグハンドオーバーを見て、次はいよいよ東京になるんだなという実感が湧きました。実際の大会を自分の目で見ることができたおかげで、不安だけれど、この仕事を頑張りたいと思いましたね。

 リオ大会後は、先日発表したセッションスケジュールを決める作業をずっとやってきました。その他にもたくさんの打ち合わせを重ねてきましたが、まだまだ決めなければいけないことが多い。今後は大会に参加するボランティアのシフトを組んだり、参加チームも決まっていくのでトレーニングスケジュールを組んだりと、より具体的な競技運営の準備をしていくことになると思います。

 東京大会では、アスリートが全力でプレーできる環境を作り、見た人に感動してもらえるような場所を作らないといけないと思っています。そして、選手だけでなく観客やボランティアなど、皆が主役であり、皆にフォーカスが当たるような大会にしたい。スポーツはアスリートだけではなく、皆で作り上げていくものなんだと再認識する大会にしたいと思っています。

プロフィール

【スポーツナビ】

藤野 隆弘(ふじの たかひろ)
1987年、神奈川県出身。成城大学卒、筑波大学大学院修了。高校、大学とバレーボール部に所属。2010年より公益財団法人日本バレーボール協会において世界選手権、ワールドカップ、ワールドグランドチャンピオンズカップ等の主要バレーボール国際大会の運営に携わる。現在は、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のバレーボールスポーツマネジャーとしてバレーボール、ビーチバレーボールの競技運営を統括している。

構成:スポーツナビ
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