東京オリンピック・パラリンピックについて1年程度延期、聖火リレー延期も発表されました。詳細な日程、選考基準などは公式情報が発表され次第更新します。

連載:未来に輝け! ニッポンのアスリートたち

“理詰めの射撃”で標的を狙う島田敦
地元・埼玉でベストパフォーマンスを

 2020年東京五輪そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートを紹介する連載企画「未来に輝け!ニッポンのアスリートたち」。第21回は埼玉県出身、ライフル射撃の島田敦(日本大)を紹介する。

コツは“ファーストチャンス”をつかむこと

ライフル射撃・日本代表として東京五輪に照準を合わせる島田敦 ライフル射撃・日本代表として東京五輪に照準を合わせる島田敦【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 動きのダイナミックなスポーツが目立つ五輪競技の中で、ひときわ「静」の印象を放つ射撃競技――。だが、ここにも他競技と同じように自問自答を繰り返す日々の鍛錬があり、やがて職人のようにフォームを洗練させ、すべての集大成のように引き金を引く。  ライフル射撃・日本代表として東京五輪に照準を合わせる島田はそんな面白みを伝えるには格好の逸材かもしれない。 「あ、すみません! 無意識に目をそらす癖があって……」  取材中、しばしば視線を遠くに向ける島田に、「いつもそう話すのですか」と尋ねると、またやってしまったと言わんばかりに顔を赤らめて下を向いた。今年で20歳になるが、性格は見るからに温厚そうで、格闘技系競技のアスリートに見られるような“ギラつき”とは対照的な目をしている。  ところが、いざライフルを構え、電子標的を見定めると、それが一変。まさしくヒットマンのような眼光となって、腹式呼吸による独特な息づかいを始める。集中力を高めるには酸素をより多く取り込んだほうがいい。そんな視点からこの呼吸法に目をつけたという。 「高得点のコツには“ファーストチャンス”という基本があって、銃の揺れが停まる最初の瞬間なんですけれど、始めた頃はビギナーズラックでこれをつかめることがよくあるんです。でも結局、アベレージは安定しない。慣れてくると、逆に『これがファーストチャンスなのか』と迷いが出てくる。だから、安定して成績を伸ばしていくには、感覚よりも理詰めで極めていく競技だと思いました」  島田は埼玉・栄北高校3年次となる16年7月の全国高校ライフル射撃競技選手権を大会新記録(624.3点)で優勝。成年を含めても国内トップクラスの成績を出すようになった。同年8月の東アジアユース(韓国)では金メダルを獲得。この前後にも国際大会の個人戦や団体戦で複数のメダルを獲得している。ライフル射撃では、世界選手権、ワールドカップ、アジア選手権大会などの成績次第で、個人ではなく、その国自体に五輪の出場枠が与えられることになる。それとは別に20年東京五輪での日本は開催国枠も期待できる。

部活見学で入った射撃場の緊張感に圧倒

中学時代は野球少年だったと話す島田は、高校の部活動紹介で見た射撃場の緊張感に圧倒された 中学時代は野球少年だったと話す島田は、高校の部活動紹介で見た射撃場の緊張感に圧倒された【スポーツナビ】

 島田が取り組む10mエアライフルの動作自体は決して複雑ではない。しかし10m先にある直径0.5ミリの10点圏の的を狙う作業は決して簡単でもなく、何より並外れた集中力が求められる。 「授業のない日は5、6時間、標的と向き合っています。始めた頃は腰の負担を減らす対策をしたりとか、平均台に乗ってバランス感覚を養ったり、フォームづくりをすることでパフォーマンスに安定感を出していたのですが、今はいかに力を抜けるかがテーマです。フォームの確認を全体的にやっていたのを、最近は一箇所ずつしっかりやって撃つことで、スコアの伸び悩みもようやく解決できてきました」  中学時代、野球少年だった島田は野球のボールを投げるたびに肩に痛みを覚えるようになった。一つの競技に限界を感じていた頃、高校の部活動見学で入った射撃場の緊張感に圧倒され、まもなくライフルを手に取るようになった。  キャリア初期のある日、全国大会でもファイナルに残れる618点(最高得点は654点)のハイスコアが出た。思わず自身の可能性を感じたそうだが、以後はしばらく、この記録を超えるどころか、近づけることもできない。これが感覚よりも理詰めで精進しようと思った最初のきっかけだった。 「試合では1時間15分の制限時間に60発撃ちますが、その中で満足できるのはだいたい10発くらい。ですから1、2発でも撃ち逃すと致命的になるようなデリケートな競技なんです。完璧な撃ちかたが10発から例えば20発撃てるようになったら、次は、今までの完璧をさらに超えたものができるように目指していく。その繰り返しでアベレージや自己ベストを高めています」

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