溝江&橋本を魅了したビーチバレーの世界
砂浜に鍛えられ「みんなたくましくなる」

ビーチバレーの橋本(左)と溝江。世界で戦う2人がビーチの世界の魅力を語ってくれた
ビーチバレーの橋本(左)と溝江。世界で戦う2人がビーチの世界の魅力を語ってくれた【スポーツナビ】

 太陽の強い日差しを浴び、海風を受けながらプレーするビーチバレー。2020年東京五輪を目指す溝江明香、橋本涼加(ともにトヨタ自動車)の2人は、自然環境と付き合いながらプレーする競技について、「みんなたくましくなる」と笑って話す。インドアの世界も経験した2人がビーチバレーに“ハマった”ワケを伺った今回のインタビュー。思わぬ日焼け、小さな水着を着る理由など、砂浜でのエピソードは止まらないほど盛りだくさんだ。

会場によって違う「砂の固さ」

――まずはビーチバレーボールを始めたきっかけを教えてください。

溝江 私は高校3年のときに同級生と、「高校生活の記念にビーチバレーの全国大会に出よう」という話になって、出場したのが転向のきっかけです。高校のときはインドアのバレー部員でしたので本当に思い出作りのような感覚で出場したのですが、その大会で、現トヨタ自動車ビーチバレーボール部のGMである川合俊一さんと元ビーチバレーボール選手の川合庶(ちかし)さんに誘っていただいて、ビーチバレーボール部のある産業能率大に進学しました。本格的に始めたのは大学1年からです。

橋本 私は2年前の2016年にインドアから転向しました。東京五輪の開催が決まって「絶対に東京五輪に出たい」と思ったのですが、そのときに、舞台は果たしてインドアなのかと考えて……。そんなときに知人から「ビーチバレーをやらないか」と声をかけていただきました。

太陽の強い日差し、会場で違う砂浜の質、ボールに影響する海風……。ビーチでプレーする難しさは、ビーチの楽しさでもある
太陽の強い日差し、会場で違う砂浜の質、ボールに影響する海風……。ビーチでプレーする難しさは、ビーチの楽しさでもある【写真提供:日本バレーボール協会】

――それまで抱いていたビーチバレーボールのイメージと、実際にその世界に足を踏み入れてみて、違いは感じますか?

溝江 私は正直、ビーチバレーのことをあまり知らなかったんです。実際にやってみたら、今まで自分がインドアのバレーボールで普通にやってきたことが、ビーチではうまくできない。培ってきた技術が全く通用しませんでした。
 足元が砂じゃないですか。基本的なプレーであるレシーブがうまく返らなかったり、スパイクも打てなかったりしたんです。そこでやる気になった。火が付きましたね。「私、こんなにヘタクソだったんだ」「このままでは終われない」と思いました。できなくて、でも練習するうちにできるようになってきて……。そういう感覚って長く同じ競技を続けているとだんだん味わえなくなっていくんですよね。それがビーチを始めたことで、またその楽しさを得られた気がして、それがビーチバレーにハマるきっかけだったのかなと思っています。

橋本 私が感じた違いは、自然と戦っていることですね。風、雨、砂、日差しなど、体育館の中で毎試合ほぼ同じ環境でプレーをするインドアとは、バレーボールと言っても別の競技だと痛感しました。

溝江 だからみんなたくましくなるよね?

橋本 そうですね(笑)。最初は風が気になりましたが、今は慣れました。

溝江 逆に利用してみようと思うこともあります。特に砂は、コートによって全く質が違うので、その試合会場ごとに差があります。私たちは「砂の固さ」って表現していますが、固い砂だと反発がもらいやすくて、跳びやすい。逆にサラサラした砂だと足を取られて跳びにくい。何年やっても、砂の質は会場によって違うので、いつまでも新しい挑戦をし続けることになります。そこも、ビーチバレーの魅力だと思います。

橋本 あと、ビーチには自由さと解放感があると思っています。屋外でプレーするという環境もそうですが、インドアはコートに6人いて、組織の一人としてチームの戦略に合わせて動くものなのですが、ビーチバレーは選手が2人しかいません。一人一人の考えですごく自由にできるところも魅力かもしれません。

――ワールドツアーの試合では、国内大会と比べて、初めて対戦する相手が多くなりますよね?

溝江 そうですね。もし時間に余裕があって、対戦相手の試合を見ることができれば、そこで特徴をとらえて分析します。あとは試合前の練習で、相手を見て「この選手はこういうプレーが得意なんだな」とか「こういう動きが好きなんだな」って観察しますね。選手の表情も見て、だいたい1セット目の後半くらいには、どういうペアなのかつかめますね。

橋本 だから逆に、相手に見られていることも意識します。

溝江 気にしているよね。見ていると分かっているので、あえて右にしか打たなかったりして。

橋本 練習中から駆け引きしていますよね。

市川忍
フリーランスライター/「Number」(文藝春秋)、「Sportiva」(集英社)などで執筆。プロ野球、男子バレーボールを中心に活動中。